2026/05/03
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アカデミー賞のAI新ルール、演技も脚本も「人間だけ」が条件に

アカデミー賞のAI新ルール、演技も脚本も「人間だけ」が条件に
Photo by RDNE Stock project on Pexels

演技も脚本も「人間だけ」— 新ルールの中身

映画芸術科学アカデミーが5月2日に発表した2027年アカデミー賞(第99回)の新規定は、AI時代における「創造性とは何か」という問いに正面から踏み込んだ。

核心は明快だ。演技賞の対象は人間によるパフォーマンスに限られ、脚本賞は人間が執筆した作品だけが候補となる。AIが生成した演技やテキストは、どれほど精巧であっても受賞資格を持たない。

ただし、AIツールの使用そのものが全面的に禁じられたわけではないようだ。規定が求めるのは、創造プロセスの中心に人間がいることだという。映画制作でのAI活用が急速に広がる中、アカデミーは「禁止」ではなく「線引き」を選んだことになる。

国際映画部門も刷新 —「国」ではなく「映画人」を称える

AI関連の改定と並んで注目すべきなのが、国際長編映画部門の大幅な刷新だ。従来は各国・地域が1本ずつ作品を提出する方式だったが、新ルールではカンヌのパルムドール、ヴェネチアの金獅子賞、ベルリンの金熊賞など主要映画祭の最高賞受賞作にも自動的な候補資格が与えられる。トロント、釜山、サンダンスの各最高賞も対象だ。

ノミネートの主体も「国」から「作品そのもの」に変わる。受賞時にはオスカー像のプレートに監督名が刻まれるようになり、授賞式での受け取りも映画製作者本人が行う。アカデミーはAP通信の取材に対し、「映画制作コミュニティがよりグローバルになる中で、焦点は国ではなく映画人に置くべきだ」との方針を示した。

このほか、俳優が同一部門で複数作品のノミネートを受けることも可能になった。他のカテゴリーでは以前から認められており、2001年にはスティーヴン・ソダーバーグが『トラフィック』と『エリン・ブロコビッチ』で監督賞に同時ノミネートされた前例がある。演技部門でもようやく同じ道が開かれたことになる。

映画産業が先行する「AI共存」のルール作り

今回の規定が注目に値するのは、AIを排除するのではなく「人間が中心であること」を条件にした点だ。音楽、出版、ゲームなど他のクリエイティブ産業でも類似の議論は進んでいるが、アカデミー賞ほどの権威を持つ組織が具体的な基準を明文化した例はまだ少ない。

この基準が他のクリエイティブ産業にどう波及していくかはまだわからない。だが、世界で最も影響力のある映画賞が「人間中心」のルールブックを最初に提示したという事実は、AI時代の創作をめぐる議論の具体的な出発点になりうるだろう。

Source: apnews.com