米調査会社Use.AI(ユース・エーアイ)が交際中の成人7,400人に尋ねたところ、48%が「自分の思い出や約束を入力し、構成や言い回しだけAIに手伝ってもらう」程度なら構わないと答えた。一方で11%は、黙って多用されれば結婚そのものを考え直す「破局要因」になり得るとしている。
「誓いの言葉をAIで作成」はどこまで許されるか
境界は「ゼロから書かせる」か「自分の言葉を整える」かにある。前者は今も強いタブーだが、後者なら容認する人が多い。
米ビジネス誌ファストカンパニーが報じた調査によれば、回答者の54%は「AIで磨き上げられた完璧な誓い」よりも「たどたどしくてもパートナー自身が書いた誓い」を聞きたいと答えた。41%は、相手がAIに頼って書いたと知れば、言葉が急に色あせて感じるという。
それでも、AIを全面的に拒むわけではない。48%は、自分の思い出や約束、伝えたい思いをAIに渡し、構成や言葉選びを助けてもらうことは気にしないと答えている。つまり多くの人にとって、AIは「編集者」なら許せても「代筆者」は許せない。結婚式サービス大手Zola(ゾラ)の別の調査でも、63%が誓いの作成にAIの居場所はないと答えており、この一線は依然として太い。
黙って使うと、なぜ関係が揺れるのか
問題はAIそのものよりも「隠すこと」にある。回答者の61%が、AIが大きな役割を果たしたなら相手に伝えるべきだと答えた。
その本音は数字に表れている。34%は、事前に知らされるよりも式のあとで多用の事実を知るほうがショックが大きいという。さらに19%は、黙ってAIを多用されていたら誓いや関係そのものを真剣に考え直すといい、11%に至っては「結婚を取りやめる理由になり得る」とまで答えている。
裏を返せば、透明性さえあれば人は寛容だ。40%は、文法や明快さ、構成を整える程度の利用なら、わざわざ打ち明ける必要はないと考えている。ここで問われているのは技術の是非ではなく、誠実さだろう。誓いの言葉は「誰が書いたか」以上に「隠しごとがないか」で重みを測られている。代筆スピーチが古くから抱えてきた問いが、AIという道具を得て、より多くのカップルの前に現れたと言える。
AIが「結婚式業界」に入り込む日
誓いやスピーチの草稿を作るAIは、すでに専用サービスとして事業化されている。2021年創業のProvenance(プロヴェナンス)は、式次第を組み立てるCeremony Builder、乾杯スピーチの草稿を作るToast Builder、そして簡単な質問に答えるだけで誓いを下書きするVow Builderを提供する。
こうしたツールが生まれる背景には、結婚準備そのもののAI化がある。Zolaによれば、2026年時点でカップルの54%が準備の何らかの場面でAIを使い、内訳はマナーの相談が54%、日程やToDoの管理が44%、ゲストや業者へのメール作成が40%を占める。招待状の段取りをAIに任せることに、もはや抵抗はほとんどない。
それでも最後の砦として残るのが、祭壇で交わす言葉だ。完璧に整った誓いよりも、少しぎこちなくても自分の言葉を選びたい。その気持ちが人々に残るかぎり、AIが祭壇の主役になる日はまだ遠いのかもしれない。





