2026/06/18
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オールバーズがAI企業「スマートバード」に転換、社名変更と新CEOで株価45%急騰

オールバーズがAI企業「スマートバード」に転換、社名変更と新CEOで株価45%急騰

なぜ「オールバーズ」がAI企業に転換したのか

スニーカーブランドのオールバーズが社名を「スマートバード」に変え、自らを「AIインフラ提供企業」と再定義したためだ。靴とは無縁のAI市場へ、事業の軸足を丸ごと移した。

米ビジネス誌『ファスト・カンパニー』の報道によれば、同社は社名変更と新CEO就任という2つの発表を同時に行った。新たに指揮を執るのはナディア・カールステンだ。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)で量子コンピューティング部門を率い、その後AI企業DCAIのCEOを務めた人物である。2024年3月に就任したジョー・ヴァーナキオCEOと交代し、取締役会にも加わる。

靴の会社がなぜAIなのか。背景には、同社がすでに靴関連資産を約4,000万ドルで売却していた事実がある。本業を手放し、まったく別の市場で生き残りを賭ける。その答えが、いま世界中の資金が殺到するAIインフラだった。

40億ドル企業が時価総額5,000万ドルに転落していた

かつて40億ドルの評価額を誇ったオールバーズの時価総額は、現在約5,000万ドルまで縮んでいる。1年前から株価は50%下落しており、AIへの転換はこの窮地から抜け出すための賭けでもある。

株式市場は、この大転換をひとまず歓迎した。発表当日、ティッカー「BIRD(バード)」の株価は午後の取引で一時45%上昇し、終値でも37%高で引けた。社名も事業内容もまるごと別物になった企業に、投資家が一斉に飛びついた格好だ。

ただし熱狂を額面どおりに受け取るのは早い。1年というスパンで見れば株価はなお半値であり、時価総額は最盛期の約80分の1にすぎない。靴で築いた評価を失った企業が、AIという看板を掲げ直しただけで信頼まで取り戻せるわけではない。発表当日の急騰は、転落した会社への再評価というより、AIという言葉そのものへの反射的な期待に近い。

新CEOが描く「ハードウェアを持たないAIインフラ」

カールステンは、企業がハードウェアを自前で抱える負担なしに高性能なAI基盤を使える点に商機を見出している。巨額の設備投資と運用の手間を肩代わりする「エンタープライズ向けAIインフラ」が、スマートバードの新たな主戦場だ。

「スマートバードは、AIインフラの進化における極めて重要な局面で市場に参入する」とカールステンは声明で述べている。「ハードウェア所有に伴う資本・運用の負担なしに、制御性と性能を提供するエンタープライズ級のAIインフラへの需要は明確に高まっている」。差別化された戦略と潤沢な資本、そして優れたチームを築く機会があると、彼女は自信をのぞかせる。

もっとも、AIインフラはいまテック業界で最も競争の激しい領域でもある。巨大クラウド勢が桁違いの資本を投じるこの市場で、時価総額5,000万ドルの新参者がどこまで食い込めるかは未知数だ。それでも、AWSと量子コンピューティングの最前線を歩いてきたCEOを迎えた人事は、この転換が思いつきの賭けではないことを示している。靴を脱いだ鳥が、AIという空で本当に羽ばたけるのか。その問いに市場が答えを出すのは、これからだ。