2026/06/17
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ケープベルデのサッカー代表がワールドカップ初出場。LinkedInのDMを、選手は9カ月スパム扱いした

ケープベルデのサッカー代表がワールドカップ初出場。LinkedInのDMを、選手は9カ月スパム扱いした

カーボベルデ代表監督のルイ・アグアスは2019年、LinkedInでロベルト・“ピコ”・ロペスにDMを送った。だがロペスはそれをスパムと思い込み、返信まで9カ月を費やした。FIFAランク67位の島国は、2026年ワールドカップの初戦で世界3位のスペインと引き分けている。

スパム扱いされた「人生最大のオファー」

カーボベルデ代表監督のルイ・アグアスは2019年、西アフリカ沖の島国カーボベルデ(ケープベルデ)の代表入りを誘うため、LinkedInでロペスにポルトガル語のDMを送った。だがロペスはそれをスパムと思い込み、まったく取り合わなかった。

ロペスはアイルランド生まれだ。銀行員からプロに転じ、アイルランドのクラブ、シャムロック・ローバーズでセンターバックを務めてきた。国際舞台とは無縁のキャリアに、ある日、見知らぬ言語のメッセージが届く。差出人は代表監督。カーボベルデの公用語であるポルトガル語で書かれた、いわゆる「コールドメッセージ」だった。

「スパムだと思って、まったく気に留めなかった」。ロペスはのちにBBCスポーツの取材でそう振り返っている。転機が訪れたのは9カ月後、アグアスが英語で「あのオファーを検討してくれたか」と再送したときだった。ロペスがGoogle翻訳で最初の文面を訳して、ようやく事の重大さに気づく。それは、代表チーム入りの誘いだった。米経済誌ファストカンパニーが報じた一連の経緯は、現代の採用事情をそのまま映している。

LinkedInでサッカー代表入り、その異例のスカウト経路

ロペスに代表資格があったのは、父がカーボベルデで生まれていたからだ。FIFAの規定では、親や祖父母の出身国の代表としてプレーできる。所属クラブを通じた連絡が難航したため、アグアスはLinkedInという異色のルートに頼った。

ビジネス特化のSNSでサッカー選手をスカウトするのは、どう考えても奇妙に映る。ロペス自身もそう感じた。それでも迷いはなかったという。「クラブへの連絡が難しかったと、あとから説明された。でも目の前にチャンスがあると分かった瞬間、最初から100%乗り気だった」と、彼はロイターに語っている。こうして彼は2019年、代表チームに加わった。チームは2022年のカタール大会こそ逃したが、2026年大会で初めて本大会への出場権をつかむ。

67位がスペインを止めた日、LinkedInが示す逆説

FIFAランク67位のカーボベルデは、初出場となったワールドカップの初戦で、世界3位のスペインと引き分けた。40歳のゴールキーパーが7本のシュートを止め、ほぼ不可能と思われた結果が、数百万人の視線を島国に集めている。

この快挙は、ロペスの風変わりな「入団経緯」にも改めて光を当てた。SNSでは面白がる声があふれている。「LinkedInのDMで国際的なサッカースカウトをやるなんて正気じゃない。なのに、そこらの企業の採用プロセスよりよほどプロフェッショナルだ」。あるユーザーはXにそう書いた。「カーボベルデ代表は、平均的な企業よりLinkedInでの成約率が高い」という皮肉も飛び交う。

教訓は、B2B営業の世界にも通じるのかもしれない。受信箱に眠るDM、スパムと切り捨てられかけた誘い、そして世界3位との歴史的な引き分けが、一本の線でつながっていた。次に届く「怪しいメッセージ」を、私たちはもう少し丁寧に開いてみてもいいのかもしれない。