2026/06/22
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父親5,000人調査で9割が「育児は幸せ」と回答。研究者も予想しなかった父性の変化

父親5,000人調査で9割が「育児は幸せ」と回答。研究者も予想しなかった父性の変化

米ワシントンの調査機関が5,000人を超える父親に聞き取りをおこなったところ、10人に9人が「子どもの世話は深い幸福の源だ」と答えた。手を動かす育児はストレスを増やす一方で、彼らに意味をもたらしていた。

「稼ぎ手」だったはずの父親に起きた異変

2026年版『世界の父親白書(State of the World's Fathers)』が5,000人を超える父親に育児と感情を尋ねた調査で、10人に9人が「子どもの世話は深い幸福の源だ」と答えた。男性は何よりまず稼ぎ手だ、という長年の前提が、数字の前で揺らいでいる。

報告書をまとめたのは、米ワシントンに拠点を置くエキムンド(Equimundo)。男性や少年をジェンダー平等の担い手に変えようと活動してきた団体だ。今年の主筆を務めたタヴィーシ・グプタによれば、手を動かす育児に深く関わる父親ほどストレスを抱える一方で、そこに意味を見いだしていた。

「これは予想していなかった」と、エキムンドのCEOゲイリー・バーカーは米公共ラジオNPRの取材に語る。「私たちのメッセージはずっと『男性よ、もっとやれ』だった。フェミニズムの立場から、少し叱るようにね」。女性の時間の貧困は現実で、男性に公平な分担を迫る必要があった。だが報告書が映し出したのは、義務ではなく幸福としての育児だった。

ストレスは増えた。それでも、そこに意味がある

調査が示すのは、育児の負担と幸福感が同居するという逆説だ。手のかかる世話は父親を消耗させる。にもかかわらず、その時間こそが「人生の幸せ」だと多くの父親が答えた。

南インドのチェンナイで運転手として働くアジャス・アハメド(27)は、その典型だろう。2025年5月、息子ナセールが生まれたとき、彼は人生で最も無力だったという。妻は10時間以上の難産に苦しみ、1週間も病床から動けなかった。彼にできたのは、ただそばにいることだけだった。

アハメドは長女が生まれたあと、激務の救急車運転手の仕事を辞めている。家に帰り、子どもと過ごす時間が持てる働き方を選んだ。父親世代には期待されなかった生き方を、彼は自分から手繰り寄せた。

「僕はおむつ担当」と笑う外科医

子どもを抱いた瞬間に、父親の脳の配線が変わる。そう語る医師がいる。

北インド・ウッタルプラデシュ州の整形外科医ニライ・マハジャン(36)は、2月に娘タリニを迎えてから、自分が小児患者にも前より共感できるようになったと話す。「赤ん坊を腕に抱いた瞬間、脳の配線が変わる。優先順位も変わるんです」。妻は多忙な婦人科医で、夫婦は負担を分け合う方法を探してきた。「家にいるときの僕は、おむつ担当ですよ」と彼は笑う。手術の合間に2時間空けば、5分の距離の自宅に戻って娘と過ごす。

それでも、手を動かす父親はいまだに居心地の悪さを感じることがある。バーカーは28年前、自分が育児に関わったときをこう振り返る。「有能な介護者だと特別扱いされる。まるで男がこれをやると超人であるかのように。さもなくば、無能か透明人間のように見られた」。報告書によれば、若い世代も年配世代も、いまだ伝統的な性別役割に傾きやすいという。

父親の地図が書き換わるとき

マハジャンが娘に望むのは、性別の枠に縛られない世界だ。「行動で、支える姿で示したい。男も女も対等なパートナーになれると。娘には、心に決めたことは何でもできると感じてほしい」と彼は言う。

子育ては本来、一人の肩にかかるものではない。あまりに消耗するから、と彼は続けた。稼ぎ手という古い地図を畳み、おむつを替え、夜中に子をあやす父親たち。その手のなかで、父であることの意味は静かに描き直されつつあるのかもしれない。