2026/06/07
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写真家がオハイオのシク教徒を3年間記録。礼拝所は40年で約10カ所に増えた

写真家がオハイオのシク教徒を3年間記録。礼拝所は40年で約10カ所に増えた

オハイオ州のシク教コミュニティは1980年代に州内初の礼拝所(グルドワラ)を設立。2025年までに約10カ所へ成長し、コミュニティの半数以上がトラック運送業に従事している。

アメリカ中西部に根づいたシク教コミュニティ

シク教は15世紀にインド北西部パンジャブ地方で生まれた宗教で、平等・奉仕・共同体を信仰の柱とする。ターバンを巻いた外見が広く知られるが、その内側にあるのは「誰もが等しく食卓につける」という徹底した平等主義だ。

礼拝所に併設された「ランガル」と呼ばれる無料食堂では、宗教・人種・身分を問わず誰でも食事ができる。日本の寺社で振る舞われる精進料理に近い発想だが、「来る者を一切拒まない食卓」という理念がより強く制度化されている点で異なる。開祖グル・ナーナクが始めたこの伝統は、500年以上たったいまもオハイオの礼拝所で毎週続いている。

インド系写真家アカシュ・パマーシーは2023年から、このコミュニティの日常をカメラに収めてきた。「シク教にはずっと惹かれてきた。信仰の根底にある平等と回復力、奉仕の精神に」とパマーシーは語る。彼のレンズが捉えたのは、礼拝所の床に並んで座り聖典の朗読に耳を傾ける家族や、ランガルで肩を並べて食事をする老若男女の姿だった。

ターバンの警官から長距離トラック運転手まで

オハイオのシク教徒が就く職業は驚くほど幅広い。パマーシーのカメラは、州で唯一ターバンを着用して勤務する警察官スクヴィール・シン・グレワルのパトロール姿を捉えた。カナダやイギリスではシク教徒の警察官は珍しくないが、オハイオでは彼が最初だ。

25年以上にわたり小動物の診療を続ける獣医師スクビール・シンの姿もある。1993年にインドで獣医学と小動物外科の学位を取得後に渡米し、オハイオ州ナイルズで地域に根差した診療を続けてきた。

一方、コミュニティの半数以上が関わるのがトラック運送業だ。ラジンダー・シン・ブラーはベッドフォードからサンダスキーまで毎日荷を運ぶ。移民にとってトラック運送は安定した収入と自由な働き方を両立できる手段であり、シク教徒の運転手たちは何十年もアメリカの物流網を下支えしてきた。

次の世代がターバンを巻くとき

ソロン市のグルドワラでは、子どもたちにターバンの巻き方を教える教室が定期的に開かれている。ターバンはシク教徒にとって規律と信仰を目に見える形で示すものであり、この教室は文化を次世代に手渡す場として欠かせない存在になった。

7歳のアガム・シン・ブラーは、祖父の家でカーミットのぬいぐるみを抱えていとこたちと遊ぶ。家の外ではアメリカの子ども、家の中ではシク教の価値観──2つの世界を自然に行き来する毎日だ。パマーシーの3年間の記録が映し出すのは、カーミットとターバンの教室が同じ週末に収まる風景が、ゆっくりと「当たり前」になっていく過程かもしれない。