2026/07/25
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南アフリカのズールー語ドラマ『The Polygamist』がNetflixで世界的ヒット。62カ国でトップ10入り

南アフリカのズールー語ドラマ『The Polygamist』がNetflixで世界的ヒット。62カ国でトップ10入り

Netflixの南アフリカ発ドラマ『The Polygamist』は、配信開始からわずか1カ月で2,300万回以上再生され、62カ国でトップ10入り。20カ国余りで首位に立った。

なぜズールー語のドラマが62カ国で視聴されたのか

富裕なアフリカ人一家の愛憎劇という、海外の視聴者がこれまでほとんど目にしなかった題材だからだ。舞台はヨハネスブルグ、主役は事業で財を成した黒人一族「ゴモラ家」である。

物語の中心にいるのは、一家の女主人ジョイス。実業家の夫ジョナシが別の女性と新しい家庭を築こうとするなか、彼女は体面を保とうと必死になる。全22話のあいだに壮絶な女同士の争いが噴き出し、家に火が放たれ、裏切りと性愛が入り乱れる。米公共ラジオNPRの報道によれば、視聴者が息つく暇もない展開が続く、テレノベラ(中南米で発達した連続メロドラマの形式)の王道を行く作りだという。

数字がその熱狂を裏づける。配信開始からの1カ月で再生数は2,300万回を超え、ルーマニア、香港、そしてアメリカと、言語も文化も遠く離れた国々でトップ10に入った。南アフリカのズールー語という、多くの国の視聴者にとってなじみのない言語で作られた作品が、である。

「クレイジー・リッチ」なアフリカという新鮮さ

メディアが描くアフリカが「貧しく、もがく人々」に偏ってきたことへの、鮮やかな裏返しだからだ。画面に映るのは、金色に輝くヨハネスブルグの大邸宅、手入れの行き届いた庭、高級車とデザイナーズブランドの服。控えめな上品さとは対極の、あからさまな富の誇示だ。

米国の人気トーク番組『The View』の元司会者シェリー・シェパードは、自身のInstagramで思わず声を上げた。「『クレイジー・リッチ・アジアン』もすごいと思ったけど、クレイジー・リッチ・アフリカンはまるで別次元。なんてこと!」。2018年の映画『クレイジー・リッチ!』が富裕なシンガポール人一族を描いて世界的ヒットになったように、桁外れの富を持つ非白人一家の物語には、国境を越えて人を惹きつける力があるのかもしれない。

原作者でジンバブエ出身の作家スー・ニャティは、この意外性こそ海外の視聴者を驚かせている理由の一つだと語る。「メディアではアフリカ人を見る視点がいつも一つきりだった。貧しく苦闘するアフリカ人、という視点だ。貧困を否定するわけではない。けれど、非常に豊かで裕福なアフリカ人の社会も確かに存在する」。韓国の富豪一族を描いたどろどろのドラマに世界のNetflix視聴者が夢中になったのと、構図はよく似ている。裏切りと富、そして家族という誰にでも思い当たる題材は、言語の壁を軽々と越える。

原作者が「男には語らせない」と決めた理由

一夫多妻という制度を、女性の視点だけで描き切るためだ。「男の言い分は、生まれてこのかたずっと聞かされてきた」からだ、とニャティは言う。

ニャティが小説を書こうと思い立ったのは、アフリカの男性たちの変化を目にしたからだった。かつての一夫多妻は、複数の妻が互いの存在を知る「開かれた」ものだった。それが近年、男性が秘密の第二家庭を持つ形へと変質し、女性たちに深い痛手を負わせている。

「だから小説では、物語を女性たちの視点から語った。男は一言も話さない」。なぜ女性がこうした関係を選ぶのか、その内側を描きたかったのだと彼女は続ける。

この小説は出版当初、ほとんど注目されなかった。Netflix化がすべてを変えた。いまや南アフリカの書店で本は飛ぶように売れ、普段は読書をしない人までもがサイン会で「買いたくなった」と作者に声をかけるという。

大統領の娘たちが描く、変わりゆくアフリカの自画像

このドラマを作ったのは、南アフリカで最も名の知れた一夫多妻の家庭で育った姉妹である。プロデューサーを務めたのは、グーグ・ズマ=ンクベとトゥリ・ズマ。四人の妻を持つジェイコブ・ズマ前大統領の娘たちだ。

「父は一夫多妻でした。何人もの妻がいて、それは間違いなく私の経験の一部になっている」と、一人は語っている。南アフリカで一夫多妻は、慣習法のもとでは認められているが、民法上は認められていない。伝統的な形では秘密ではなく、妻たちは互いの存在を知る。ズールー王家も一夫多妻を実践し、現国王には三人の妻がいる。制度そのものが、いまも生きた話題として社会に息づく。

だからこそ、この物語には作り物めいた軽さがない。当事者として制度を知る作り手が、女性の視点から光を当てたことで、フィクションは社会を映す鏡になった。富の輝きと裏切りを描くズールー語のメロドラマが、「貧しいアフリカ」という一枚きりの絵を、世界の茶の間で静かに描き替えつつあるのかもしれない。