2026/07/25
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ウィル・フェレル主演のNetflixゴルフコメディ『The Hawk』、全5時間は長すぎたのか

ウィル・フェレル主演のNetflixゴルフコメディ『The Hawk』、全5時間は長すぎたのか

Netflixの新シリーズ『The Hawk』は、ウィル・フェレル演じる元世界ランク1位のプロゴルファーの復活劇だ。全10話・約5時間に及び、彼の代表作の映画より3時間以上も長い。

哲学者も愛した「たわいなさ」の効能

なぜ賢い人ほど、バカバカしい喜劇を作りたがるのか。20世紀を代表する哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは、難解な論理学の合間に、安っぽいコメディを心から好んだ。

米公共ラジオNPRの批評家ジョン・パワーズは、この『The Hawk』評を意外な引用から書き起こす。「利口ぶった不毛な高みに留まるな。緑あふれる、たわいなさの谷へ降りてこい」。ウィトゲンシュタインが残したこの言葉ほど、ウィル・フェレルという喜劇俳優を言い当てたものはない。

フェレルは米国のバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』で人気者になり、映画『エルフ』『俺たちニュースキャスター』などで一時代を築いたコメディスターだ。彼の十八番は、体だけ大きくなった「永遠の少年」を演じることにある。同じ路線のアダム・サンドラーやベン・スティラーと比べても、その笑いには意地の悪さがほとんどない。そこが持ち味であり、好き嫌いの分かれ目でもある。

元世界1位が挑む、笑劇の復活戦

主人公ロニー・ホーキンス、通称「ザ・ホーク」は、2004年に世界ランク1位まで上り詰めながら、全米オープン最終ホールのパットを外して転落したプロゴルファーだ。

それから長らくPGA(米プロゴルフ協会)ツアーから遠ざかっていた彼は、なおも返り咲きを狙って小さな大会を渡り歩く。相棒は、Walmart(ウォルマート)の駐車場で偶然出会った自由奔放なキャディのサム(演じるのはコメディアンのフォーチュン・ファイムスター)。彼女の助けでロニーは連勝街道に乗り、かつてのファンの歓声とともにツアーへ返り咲く。

物語をかき回すのは家族だ。毒舌の元妻ステイシー(モリー・シャノン)、そしてプロゴルファーの息子ランス(ジミー・タトロ)。父の帰還は、息子に一種のエディプス的な混乱を引き起こす。ランスの婚約者だけが、この狂騒のなかで唯一まともなウェルネス系インフルエンサーという皮肉も効いていた。ロニーのゴルフ作法も、いかにもばかげている。あるシーンでは、渾身のドライバーを放つ前に、彼はゴルフボールと架空の会話を交わす。息子と、そして気取ったライバル(ルーク・ウィルソン)との対決へ向かう筋書きは、NPRの批評が指摘する通り、驚くほど分かりやすい。

なぜ「約5時間」は長すぎるのか

くだらない喜劇は短くあるべきだ、とパワーズは言う。『The Hawk』は全10話で約5時間に及び、フェレルのどのヒット作より3時間以上も長い。

物語そのものは、これだけの長さを支えるには薄すぎる。笑える小ネタは確かに豊富だ。歌あり、空想シーンあり、サプライズのカメオ出演あり、機関銃のように飛び交う悪口あり。小便器での珍騒動、絶妙なタイミングで現れるピクルスの瓶、ドーナツを積み上げた塔のギャグまである。さらには英国の作家E・M・フォースターの小説『モーリス』をネタにした一言まで放り込まれた。パワーズが皮肉を込めて書く通り、「くだらない喜劇は、賢い人間が作っている」証拠のようなものだ。

だが、盛り込みすぎは笑いのキレを鈍らせる。テンポよく畳みかけてこそ生きるドタバタが、5時間という尺のなかで間延びしてしまう。短さこそが命の芸を、フェレルはあえて引き延ばしてみせた。

それでもフェレルが「谷」を歩き続ける理由

フェレルの喜劇に人が引き込まれるのは、そこに意地の悪さがないからだ。

「永遠の少年」を演じる喜劇俳優の内側には、たいてい何か暗いものが潜んでいる。事実、サンドラーはシリアスな演技でも高い評価を得てきた。だがフェレルには、その毒がない。車内に10秒閉じ込められただけでパニックに陥り、意味不明なCMソングを熱唱し、ひどい振る舞いを「冷たい」と言われて心底驚いてみせる。その全力の道化ぶりに、観る側はつい笑ってしまう。

そして、ロニー・ホーキンスという役はフェレル自身と静かに重なる。ファンは今も彼を愛しているが、最大のヒット作はいずれも2000年代のものだった。映画のコメディが苦しい時代を迎えるなか、彼もまた多くのスターと同じくNetflixへ活路を求めた。かつての栄光を2000年代に置いてきた喜劇王が、ゴルフ場を舞台に、もう一度あの「たわいなさの谷」を歩き直そうとしているのかもしれない。