2026/07/03
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スタブハブがW杯チケットで集団提訴される。数千人が『存在しないチケット』の被害

スタブハブがW杯チケットで集団提訴される。数千人が『存在しないチケット』の被害

原告の1人は6月18日の試合に向けチケット3枚を1,905ドル(約29万円)で購入したが、スタジアムの列に並んでも券は届かず、返金もされなかった。訴訟は数千人規模の集団訴訟を目指している。

試合当日、スタジアムの列に並んでも券は来なかった

スタブハブを相手取ったワールドカップ・チケットの集団訴訟は、決済を終えたはずの券が「存在しなかった」と訴えている。原告2人はいずれもカリフォルニア州在住で、今週ニューヨークの連邦裁判所に提訴したと米ビジネスメディア『Fast Company』は伝えている

原告の1人は、6月18日にカリフォルニア州のソファイ・スタジアムで行われたスイス対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦のチケット3枚に、1,905ドル(約29万円)を支払った。ところが手続きは二転三転する。最初は「発券準備が整った」と通知が届き、次に「注文はキャンセルされた」と告げられ、その後また「やはり届く」と伝えられたという。試合1時間前に配送すると約束され、彼女はスタジアムまで車を走らせて列に並んだ。だが券は最後まで手元に来なかった。

約束された返金も、その後受け取れていないと訴状は述べている。もう1人の原告は、同じ6月18日にメキシコのグアダラハラで行われたメキシコ対韓国戦の2枚に2,294ドル(約34万円)を払ったが、やはり券は届かなかった。何度も苦情を重ねてようやく返金されたものの、メキシコまでの渡航費は自己負担のまま残った。

なぜ「存在しないチケット」が生まれたのか

チケットが消えた原因をめぐって、スタブハブと大会主催者FIFA(国際サッカー連盟)は責任を押し付け合っている。訴状は、スタブハブの「虚偽で誤解を招く」販売手法が被害を生んだと主張する。

スタブハブは訴訟へのコメントを控えつつも、声明で「唯一の目標はファンを会場に入れることだ」と反論した。同社のFanProtect(ファンプロテクト)保証は、問題が起きれば代替チケットか全額返金を約束するもので、「今回のワールドカップも例外ではない」とする。そのうえで、ファンが直面した問題は「主催者側のチケット基盤の不具合が主な原因だ」と述べ、矛先をFIFAに向けた。

一方のFIFAは、第三者プラットフォーム上の二次取引について「可視性も管理権限もない」と反論し、自らの基盤が原因だとする見方を明確に否定している。訴状によれば、券が「存在しなかった、予告なく取り消された、あるいは消去された」のは、FIFAが「貧弱なデジタル基盤」と呼ぶ状態のためだという。両者の言い分は、真っ向からぶつかったままだ。

転売サイトが抱える構造的な弱点

二次流通のチケットは、主催者のシステムと転売サイトのシステムが分断されているほど、直前で消えるリスクが高まる。今回の混乱は、その断絶が最悪の形で表面化した例と言える。

近年の大型イベントの入場券は、主催者の公式アプリに紐づく電子チケットが主流になった。発券や送信の最終的な権限を主催者が握るため、転売サイトが「売れる」と表示していても、実際に券がファンのスマホへ届くかどうかは主催者側のシステム次第になる。買い手が代金を払い終えても、券の実体が最後まで宙に浮くという事態が起こりうる。

しかもFIFAは、自前のマーケットプレイスでの購入を推奨している。そこで再販された券には売り手と買い手からそれぞれ15%ずつ、合計30%の手数料が上乗せされる。二次流通を自社に囲い込む動機がある側が、外部プラットフォームの不具合の責任を負わない構図になっている点も、今回の訴訟が突く論点だ。

買う前に、確かめられること

大きなイベントの券を二次流通で買うなら、その券が主催者の公式アプリとどう結びつくかを決済前に確認することが、最初の防衛線になる。

原告らは金銭的な賠償に加えて、スタブハブがワールドカップのチケットを販売すること自体の差し止めと、その販売で得た利益を被害者へ分配することを求めている。集団訴訟として認められるかどうかは、これからの司法判断に委ねられる。数百人から数千人に及ぶとされる被害者が、どこまで救済されるかはまだ見えない。

それでも、教訓ははっきりしている。券が主催者の公式システムとどう結びついているかを一度確かめるだけで、同じ列に並ぶ側に回るリスクは下げられるはずだ。