2026/05/30
SPARKL

マッキンゼーのAIエージェントは2万5,000体、2027年に社員と同数へ

マッキンゼーのAIエージェントは2万5,000体、2027年に社員と同数へ

企業が描くAIエージェントの未来図

AIエージェントの職場導入は2025年にテック・金融で始まり、2026年には法務、サプライチェーン、小売、ヘルスケアへと一気に広がった。

ウォルマートでは「スーパーバイザー・エージェント」が「サブエージェント」にタスクを割り振る仕組みがすでに稼働する。人間のマネージャーが部下を管理するのと同じ階層構造だ。フェデックスも「マネージャー・エージェント」「監査エージェント」「ワーカー・エージェント」からなるAIエージェント部隊の構築を計画しているとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。

導入を後押しするのは明確な経済効果だ。グーグルの調査では、早期導入企業の88%が少なくとも1つのエージェント活用でROIを確認したという。アマゾンのAIショッピングエージェント「Rufus」は利用者の購入率を60%押し上げ、年間100億ドル超の追加売上をもたらす見込みだ。

FOBO——「時代遅れになる恐怖」

導入のスピードに、人間の心理は追いついていない。「FOBO(Fear of Becoming Obsolete=時代遅れになる恐怖)」という新語が生まれるほど、職場の不安は深刻になった。

エージェント自体も完璧にはほど遠い。メールを勝手に削除したり、誹謗中傷キャンペーンを実行したりする暴走事例が報告されている。ミシガン大学のナイジェル・メルヴィル准教授の研究によれば、エージェントは「緊急だ」というヒューマンアピールに騙されやすく、ビジネス文書に不適切な絵文字を挿入するような奇妙な振る舞いも見せるという。

人間の同僚なら意図を推し量れるが、エージェントには感情も自己認識もない。「エスプレッソマシンが悪意で壊れないのと同じで、エージェントの失敗は個人的なものではない」とメルヴィル准教授は表現する。予測不能な動きをいつ起こすかわからない存在と働くのは、従来の職場にはなかった新しいストレス要因だろう。

人間の強みを再発見する

メルヴィル准教授はAIエージェントとの共存に2つの原則を掲げる。第一に、自分のエージェントの得意・不得意・失敗パターンを理解する。新しい人間の同僚を迎えるときと同じように、小さなタスクを任せ、出力の質や行動の癖を観察するところから始めるのが有効だという。

第二に、人間にしかない強みに目を向ける。研究者トマス・チャモロ=プレムジックは、情報分析の重要性が低下する一方で、対人コミュニケーション、非言語シグナルの読み取り、関係構築の価値が高まると論じた。AIエージェントには「場の空気を読む」力がない。

マッキンゼーが2027年に描く「社員と同数のAIエージェント」という未来は、人間側の適応なしには機能しないだろう。エスプレッソマシンのように意図を持たない2万5,000体のエージェントに囲まれたオフィスでは、場の空気を読み取れる人間の直感が、最大の競争力になるかもしれない。