2026/05/30
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米企業リーダー26人が証言、AI活用は「実験から必須インフラ」に転換

米企業リーダー26人が証言、AI活用は「実験から必須インフラ」に転換

問いが変わった — 「導入するか」から「どう速く展開するか」へ

Fast Companyの招待制コミュニティ「Impact Council」に所属する企業リーダー26人が、AI活用に対する意識変化について一斉に回答した。共通するメッセージは明確だ。AIはもはや実験的なツールではなく、業務インフラとして「あって当然」のものになった。

Dayforceのスティーブ・ホルドリッジは「取締役会もクライアントも、AIを使うかどうかではなく、『インパクトはどこに出ているのか』を問うようになった」と語る。Tailscaleのエイブリー・ペナランによれば、1年前にはチームの片隅で試されていたAIが、今やエンジニアリング、サポート、オペレーション全体のワークフローに組み込まれている。Age of Learningのアレックス・ガルヴァーニは「コードの約90%がAI支援で書かれており、取締役会の問いは『AI戦略は何か』から『成果をどう測定・拡大するか』に変わった」と報告した。

「AIスロップ」と意図的な活用の二極化

TwentyFirstCenturyBrandのニール・バリーは、リーダー層の間に鮮明な二極化が生まれていると指摘する。一方は、AIが生成する汎用的なコンテンツをそのまま使い、結果として自分らしさを失うグループ。もう一方は、カスタムGPTを構築し、自分の文体を学習させ、バイブコーディングでウェブアプリまで作り上げる——AIを「自分自身の拡張」として使いこなすグループだ。

Mission Northのタイラー・ペリーも同じ構図を見ている。「初期の生成AIはコンテンツ量産のショートカットとして使われたが、ほぼ同一の、明らかにAI生成とわかる投稿を大量に出せば、コンテンツの価値はゼロに近づく」。同社が掲げるのは「AI-powered, human-led(AIが駆動し、人間が導く)」という方針だ。AIを下書きや編集、トーンの調整に使いつつ、人間の経験と創造的な判断力を前面に出す。Michael Graves Designのベン・ウィントナーは、この転換を率直に表現した。「以前はAI生成が明らかな成果物は却下されていた。今はAIを使っていない成果物のほうが疑問視される。ただし意思決定は人間が行う」。

ガバナンスと人材市場に波及する変化

導入スピードが加速する一方で、ガバナンスの追いつかなさが新たなリスクとして浮上している。OneTrustのブレイク・ブラノンは「ガバナンスのリーダーたちの問いは、『どう減速させるか』から『コントロールを失わずにどう加速するか』に変わった」と述べる。ガバナンスがAIの速度と規模に追いつかなければ、ガードレールなしでプロジェクトが本番稼働するリスクが生じる。コンプライアンスと信頼の問題だけでなく、イノベーションの停滞と競合への後れという二重の脅威だ。

人材市場にもこの変化は波及した。NU Advisory Partnersのメレディス・ローゼンバーグによれば、求職者はAIを社内業務にどう統合しているかを積極的に評価するようになっている。AI活用に消極的な企業は、イノベーションへの姿勢そのものを疑われるという。AIへの対応は、もはや技術戦略ではなく採用競争力の問題でもある。

「周縁」から始めるAI活用が成果を出している

26人の声の中で際立つのは、テクノロジーの中心ではなく「周縁」からAI導入を始めた事例だ。MIT Solveのハラ・ハンナは、ナイジェリアのLifeBankがAI駆動の物流で3,000の病院と4,000万人にリーチしている例や、SXDがAIでゼロ・ウェイスト設計を実現しCO₂排出を80%削減した例を挙げた。「緊急性と希少性のある場所が、他のどこよりも思慮深い、人間中心のAI活用を生み出している」と同氏は言う。

Understood.orgのネイサン・フリードマンは、ニューロダイバーシティ(神経多様性)の領域での成果を報告した。同団体の調査では、ニューロダイバージェントの従業員の半数以上が、AIのおかげで以前は避けていた上位職への応募に自信を持てるようになったという。「人を代替するのではなく、人を支えるために使えば、AIは生産性とインクルージョンの両方を高められる」とフリードマンは語る。テクノロジーの恩恵を最も必要とする人々から設計を始めるという発想が、結果的に最も人間的なAI活用を生んでいるようだ。