2026/05/25
SPARKL

アルトマン、OpenAI裁判で証言「慈善団体は盗めない」

アルトマン、OpenAI裁判で証言「慈善団体は盗めない」

「慈善団体は盗めない」——証言台での反撃

マスク対アルトマン裁判は2週間にわたり、複数の証人がOpenAI CEOを「嘘つき」と描写する展開が続いた。そしてついに、アルトマン本人が証言台に立った

弁護士ウィリアム・サヴィットから「慈善団体を盗んだと告発されてどう感じるか」と問われると、アルトマンはこう切り返した。「私たちは懸命な努力でこの巨大な慈善団体を作り上げました。盗むことなどできません。マスク氏のほうこそ、それを潰そうとした。2度も」。

The Vergeの法廷記者エリザベス・ロパットによると、アルトマンは証言の冒頭こそ緊張していたが、次第に「セントルイス出身の好青年」モードに切り替わり、リラックスした様子を見せたという。陪審は好意的な反応を示していたとみられる。

法廷で勝っても残る代償

証言台でのパフォーマンスは「信頼できる」印象を与えたようだ。だがThe Vergeの見出しが端的に指摘するとおり、「証言台では勝っていたが、それだけでは足りないかもしれない」。

マスクが2週間かけて構築したのは、単なる法的主張ではない。「OpenAIは非営利の使命を裏切り、アルトマンはその過程で嘘をついた」という物語だ。この物語が法廷で退けられたとしても、世間の記憶には残る。アルトマン自身も別の報道で、マスクの「心理ゲーム」がOpenAIに損害を与えていたと述べている。

裁判と同時期に、OpenAIの安全性チームに約200人が在籍していること、安全・セキュリティ委員会がモデルリリースの正式な遅延を決めたことも報じられた。訴訟が直接の引き金かどうかは不明だが、「信頼」を意識したシグナル発信のタイミングとしては象徴的だ。

AI企業が迫られる「信頼の説明責任」

この裁判を通じて見えてくるのは、AI企業にとって技術力と並んで「なぜ自分たちを信頼できるのか」を説明する力が不可欠になりつつあるという構図だろう。

OpenAIは非営利として発足し、営利へ転換した。その判断自体は経営として合理的でも、設立時の約束との整合性を問われれば説明は容易ではない。同じ緊張関係は、グーグルやメタ、アンソロピックなど「安全性」と「商業化」の両立に悩むすべてのAI企業にも当てはまる。

「セントルイスの好青年」の穏やかな証言が陪審を動かしたとしても、200人の安全チームが説得すべき相手は、法廷の外に広がっている。