写真は撮れない——では何ができるのか
ブルームバーグのマーク・ガーマンによると、カメラ搭載AirPodsは現在「設計検証テスト(DVT)」の段階にある。量産前の最終段階である「生産検証テスト(PVT)」の一歩手前だ。アップルのテスト担当者はすでに試作機を「日常的に使用」しているという。
搭載されるカメラは、写真や動画の撮影を目的としたものではない。低解像度の映像情報を取り込み、Siriへの問いかけに活用する設計だとThe Vergeが報じた。たとえば目の前の食材を見せて「これで何が作れる?」と聞いたり、道案内の精度を高めたりする用途が想定されている。
外観はAirPods Pro 3とほぼ同じだが、カメラ技術を搭載するためステムがやや長くなる。映像データがクラウドに送信されている間は、小型のLEDライトが点灯して利用者に通知する仕組みだ。
メタのスマートグラスとの競争
アップルがこの分野に乗り出せば、すでにスマートグラスで成果を上げているメタとの直接競争が始まる。メタのRay-BanスマートグラスはカメラとAIアシスタントを組み合わせ、ウェアラブルAI市場で先行してきた。一方、スマートフォンの開発を進めていると報じられるOpenAIに対しても、アップルはイヤホンという既存のエコシステムを活かした形で先手を打つことになる。
ガーマンの報道によれば、アップルはスマートグラスやAIペンダントも開発中で、早ければ2027年初頭にも発売される可能性がある。AirPodsへのカメラ搭載は、こうしたウェアラブルAI戦略全体の最初の一手とみられる。
9月発売の可能性、鍵はSiriの進化
当初、アップルはカメラ付きAirPodsを2026年前半に発売する計画だった。しかし、次世代Siriの開発遅延に伴い、スケジュールは後ろ倒しになった。ガーマンによれば、改良版Siriは9月のリリースに向けて「順調」だという。AirPods Pro 3が2025年9月に発表・発売されたことを考えると、同じ時期に新モデルが登場する可能性は十分にある。
イヤホンにカメラを載せるという発想は、一見すると奇妙に映るかもしれない。だが、すでに数億人が毎日耳に装着しているデバイスにAIの視覚機能を加えることは、スマートグラスやペンダントよりも自然な導入経路になりうる。

