12年間の「一択」が崩れるまで
5Kモニターの世界で、アップルは約12年にわたり事実上の独占状態にあった。2014年に登場した27インチ iMac は、その5Kディスプレイだけを目当てに購入する人がいたほどだ。唯一の対抗馬だったLGの5K UltraFine はデザインが平凡で、選択肢と呼ぶには物足りなかった。
2022年、アップルはついに単体モニターとして Studio Display を1,599ドル(約24万円)で投入した。中身は iMac のスクリーンにウェブカメラとスピーカーを載せた製品だ。アップルはこのタイミングでLGの5Kモニターを自社ストアから外している。独占はさらに強固になったかに見えた。
550ドルからの競合が突きつける問い
風向きが変わったのは2024年後半だった。ベンキューやエイスースが27インチ5Kモニターを相次いで発売し、価格は550ドルから1,100ドル — Studio Display の3分の1から3分の2という水準だ。
しかも、これらの競合製品はスペックの面でも上回る部分が多い。高さ調整可能なスタンドが標準装備され、ポートの種類も豊富で、複数のコンピューターへの同時接続にも対応する。Windows でも使える。使用しているパネルは Studio Display と同じか、非常に近いものだという。
The Verge のレビューは、2026年版 Studio Display に10点中6点を付けた。「2026年にもなって60Hz の IPS モニターにこの価格は、あまりにも高い」という指摘だ。高さ調整スタンドを選ぶだけで追加400ドルかかる点も、容赦なく批判されている。
Mac との統合体験はどこまで武器になるか
もちろん、Studio Display にも明確な強みはある。正確なピクチャーモード、優れた内蔵カメラ、良質なスピーカー、そして Mac とのシームレスな統合だ。アップルのエコシステムに深く入り込んでいるユーザーにとって、この一体感は競合では得られない。
だが、同じパネルを使った製品が半額以下で手に入る現実は重い。次の Studio Display が120Hz パネルや OLED に踏み込むのか、それとも Mac 統合体験の深掘りで勝負するのか。12年ぶりの本格競争は、アップルにとってむしろ歓迎すべき刺激になるだろう。

