「精神」の次は「身体」だった
マヌーシュ・ゾモロディはNPRの人気ポッドキャスト『TED Radio Hour』のホストであり、2017年のTEDトークは700万回以上再生されている。彼女の最初の著書『Bored and Brilliant』は、テクノロジーが人間の創造性と精神をいかに蝕むかを検証したものだった。
そして2026年、続編にあたる新著『Body Electric』が出版された。今度のテーマは身体だ。NPRとコロンビア大学医療センターの共同プロジェクトとして、数万人のリスナーが参加したインタラクティブ実験に基づいている。The Vergeのインタビューで、ゾモロディ自身がこの研究の背景と自らのテクノロジーとの付き合い方を語った。
記者自身が抱える「低度の慢性痛」
ゾモロディは率直に告白する。スマートフォンを使うたびに身体を不自然に曲げなければならず、「丸1日スマホから離れないと消えない、常に低いレベルの首の痛み」を抱えていると。テクノロジーと身体の関係を研究する記者が、自分自身の身体で代償を払っている。
それでもメタのスマートグラスのような「顔に装着するデバイス」にはまだ移行したくないという。VRヘッドセットのOculusは棚の上で埃をかぶっている。つまり問題は、現在のスマートフォンという形態そのものが人間の骨格に合っていないにもかかわらず、代替手段がまだ成熟していない点にある。
ジャーナリズムが査読論文になるとき
ゾモロディが最も誇りに思っていると語ったのは、『Body Electric』の研究が学術誌に査読付き論文として掲載されたことだった。10年以上にわたって数万人規模のリスナー参加型プロジェクトを続けてきたが、学術的な査読を通過したのは今回が初めてだという。
これはジャーナリズムと科学研究の境界が溶け始めていることを示す事例でもある。大規模なオーディエンスを持つメディアが大学の医療センターと組めば、従来の研究室では不可能だった規模のデータを集められる。ポッドキャストのリスナーが被験者になるという構図は、市民科学の新しい形かもしれない。
「退屈な散歩」という処方箋
行き詰まったときの対処法を聞かれたゾモロディは、「気が進まなくても、長くて退屈な散歩に出る」と答えた。何世紀にもわたって、長い散歩が優れた文学、発明、そして夕食の献立を生み出してきたと彼女は言う。スニーカーの単調な足音を聞いているうちに、15分ほどで頭が動き始めるという。
テクノロジーと身体の関係を研究した人間がたどり着いた答えが、テクノロジーから離れて歩くことだったという事実は皮肉でもあり、説得力もある。AirPodsで通話しながら歩くことを「Zoomの代わり」として推奨する彼女の姿勢は、テクノロジーを全否定するのではなく、身体の動きと両立させる使い方を模索するものだ。コロンビア大学との研究が示すエビデンスが、こうした日常的な実践とどう結びつくのか──『Body Electric』の本編が答えを持っているだろう。

