「ディスコモーフィズム」と名付けられた20周年ロゴ
Spotifyは2026年5月、創業20周年を記念してアプリアイコンを刷新した。おなじみの緑色の円形マークが、ダークグリーンのディスコボール風に変貌。ネット上ではこのデザインを「ディスコモーフィズム(discomorphism)」と呼ぶ造語まで生まれた。
だが、ユーザーの反応は祝福とは程遠かった。SNSには「元のアイコンに戻してほしい」という声が殺到し、Spotifyは公式アカウントで「グリッターが万人向けでないのは承知しています。来週、通常のアイコンに戻ります」と応答した。同社によれば、ディスコボール・アイコンは最初から期間限定の企画だった。「Your Party of the Year(s)」と銘打った20周年キャンペーンの一環で、年末恒例の「Wrapped」に似たアプリ内体験として設計されたものだという。
ロゴへの反発は「感情的な信頼」の問題
なぜ、たかがアイコンの一時変更がこれほど騒がれるのか。デザインコンサルタント会社RKSデザインの創業者ラヴィ・ソーニーは、Fast Companyの取材に対し「ロゴへの反応は、ロゴそのものの話ではない。感情的な親しみと、無意識の信頼の問題だ」と分析する。毎日目にするアプリアイコンは視覚的なアンカーであり、わずかな変化でも「何かが違う」という不安を引き起こす。
Spotifyがロゴに手を加えるのは今回が初めてではない。毎年のWrappedキャンペーンでは、レディー・ガガやジャスティン・ビーバーらアーティストへのオマージュを込めたデザインに変更してきた。しかし、過去のどの変更も今回ほどの反発は招かなかった。ディスコボールの質感が「安っぽい」と映ったのか、20年で築かれたブランドへの愛着がそれだけ強固になったのか——おそらく両方だろう。
炎上がバイラルを生み、新規登録者を呼び込む
興味深いのは、この騒動がSpotifyにとって損ではなく得になった点だ。ディスコボール・ロゴが公開されると、他のブランドやデザイナーたちが自社のロゴを同じようにキラキラに加工して投稿する流れが生まれた。ポップスターのアルバムアート公開に便乗するミームのように、ディスコボールが一種のビジュアルフィルターとして拡散された。
Spotify自身も、オンラインの議論が新規登録者の増加につながったと認めている。反発を含めた注目を集めること自体がキャンペーンの狙いだったとすれば、20周年の仕掛けとしてはかなり巧妙だ。ブランドの「一時的な逸脱」がバイラルを生み、結果として本体のアイデンティティを再確認させる——この構図は、来週アイコンが元に戻った瞬間に完成する。

