2026/06/04
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「猫にまたたび」は本当だった! 有効成分170倍のキャットニップでもマタタビには勝てないと実験で判明

「猫にまたたび」は本当だった! 有効成分170倍のキャットニップでもマタタビには勝てないと実験で判明

猫22匹を対象にした実験で、15匹がキャットニップよりマタタビ(シルバーバイン)を選んだ。キャットニップの生物活性物質はマタタビの170倍だったにもかかわらず、この嗜好は覆らなかった。

猫はマタタビとキャットニップにどう反応するのか

岩手大学と名古屋大学の研究チーム(宮崎雅雄教授ら)が2026年、化学生態学の専門誌『Journal of Chemical Ecology』に発表した研究で、自由行動する猫6匹と飼育下の純血種22匹を対象に、マタタビとキャットニップへの反応が比較された。キャットニップは和名をイヌハッカといい、欧米では日本のマタタビと同じ役割を担う「猫の定番ハーブ」だ。結果は明確にマタタビ優位だった。

研究チームはまず、庭に植えたキャットニップの近くに新鮮なマタタビの枝と葉を置き、6匹の猫の行動を10晩にわたって観察した。5匹がマタタビに反応した一方、生のキャットニップに反応した猫は1匹もいなかった。

抽出物を使った追試でも傾向は変わらなかった。さらに22匹の純血種の飼い猫で検証したところ、15匹がマタタビを選び、3匹がキャットニップ、1匹が両方に反応した。残り3匹は匂いを嗅いだものの、体をこすりつけるなどの反応は示さなかった。

有効成分170倍でもマタタビに勝てないのはなぜか

キャットニップ抽出物に含まれる生物活性物質はマタタビの170倍だったが、猫の嗜好は変わらなかった。研究チームは「生のキャットニップの匂いが強すぎる」可能性を指摘している。

有効成分が多ければ効果も強い、と考えるのが自然だ。だが猫の嗅覚にとっては刺激が過剰になり、むしろ忌避反応を引き起こしているのかもしれない。市販のキャットニップが通常、乾燥した葉の形で販売されている事実もこの仮説と整合する。乾燥によって匂いの強度が和らぎ、猫にとって受け入れやすい刺激になっている可能性を研究チームは示唆した。

「猫にまたたび」を科学が追認した

1768年、英国の植物学者フィリップ・ミラーは著書『The Gardeners Dictionary』で、猫はキャットニップが「萎れたとき」に好むが、大量に生えている場所では無視すると記録していた。250年以上前の観察が、現代の実験結果と一致している。

日本では「猫にまたたび」ということわざが古くから親しまれてきた。欧米ではキャットニップが猫用嗜好品の主流だが、日本文化が経験則として蓄えてきたマタタビの知恵を、今回は日本の研究チームが実験で裏づけた形だ。250年前の英国の植物辞典と、日本の古いことわざと、現代の実験室が、同じ結論にたどり着いた。猫の鼻は、成分表の数字よりもずっと確かだったようだ。