2026/05/25
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グーグルがChromeに4GBのAIモデルを無断配布、削除しても自動復活

グーグルがChromeに4GBのAIモデルを無断配布、削除しても自動復活

消せない4GBファイルの正体

グーグルは2024年6月、Chrome バージョン126から「Gemini Nano」と呼ばれるAIモデルをユーザーのPCに自動でダウンロードし始めた。文章の校正や要約などブラウザ内のAI機能を、クラウドではなくローカルで実行するための仕組みだ。だが問題は、ユーザーへの通知も同意の取得も一切行われなかった点にある。

weights.bin というファイル名で保存されるこのモデルの容量は4GB超。2020年製の MacBook Air のようにストレージに余裕のない端末には、無視できない負担となる。しかも手動で削除しても、Chromeが自動で再ダウンロードしてくるという。セキュリティ研究者アレクサンダー・ハンフが5月4日に公開した詳細な調査報告をきっかけに、この問題は今週一気に注目を集めた。

2年近く存在しなかった「オフスイッチ」

グーグルは報道を受けて声明を出し、2026年2月からChrome設定画面に「On-device AI」というトグルスイッチの展開を開始したと説明した。だがFast Companyの検証では、最新版Chrome(v148)でもmacOS環境ではこのトグルが表示されないケースが確認されている。Windows版には表示されたものの、テストしたMac2台では見つからなかったという。

chrome://flags からの無効化という回避策も広く出回っているが、これも確実ではない。フラグを変更して関連サービスをすべて無効にしても、Gemini Nano が再びダウンロードされた事例が報告されている。配布開始から約2年、多くのユーザーにとって実質的な停止手段が存在しなかったことになる。

プライバシー法違反の可能性

ハンフはこの問題を技術的な不便さにとどめず、法的な観点からも分析している。5月7日のフォローアップ投稿で彼は「あなたたちは私のデバイスに手を伸ばし、設定を変更し、私が許可していないものをインストールする権限を自分に与えた」と批判した。EUのePrivacy指令、EU・英国のGDPR、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)、さらにはマルタ刑法第9章に抵触する可能性があると指摘している。

環境コストも無視できない。ハンフの試算によれば、全Chromeユーザーへの一斉配布に伴うCO2排出量は6,000〜6万メトリックトンに達するという。AIの「便利さ」を一方的に届けるコストは、ストレージの圧迫だけでは測れないだろう。

Macユーザーの自衛策

グーグルの公式トグルが届くのを待てないMacユーザーには、ターミナルから1行のコマンドを実行する方法がある。Chromeを終了した状態で以下を入力する。

defaults write com.google.Chrome GenAILocalFoundationalModelSettings -int 1

その後、Chromeフォルダ内の OptGuideOnDeviceModel ディレクトリを削除すれば、再ダウンロードを防げる。ただしこの操作を元に戻せなかった事例も報告されているため、事前のバックアップは必須だ。

「Nano」という名前が皮肉に響くほど、4GBの無断配布が突きつけた問いは大きかった。だが少なくともMacでは、ターミナルの1行コマンドが自分のストレージを取り戻す鍵になる。巨大企業の決定に対して、ユーザー側にも具体的な選択肢が残されている事実は、小さいようで心強い。