2026/05/30
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ディズニー新CEO、就任1週間でFCCに「言論の自由」で反論

ディズニー新CEO、就任1週間でFCCに「言論の自由」で反論

就任1週間で突きつけられた「均等時間」問題

ディズニーの新CEOジョシュ・ダマーロは、つい1週間前まで投資家向けにDisney+を「デジタルの中核」にする構想を語っていた。テーマパーク部門トップからの昇格であり、デジタル戦略と顧客体験の融合こそが彼の描いたCEO像だった。

だが先週金曜日、優先事項は一変する。ディズニー傘下のABCが、FCC(米連邦通信委員会)に対し「憲法修正第1条(言論の自由)への侵害」を正式に申し立てたとThe Vergeが報じた。発端はABCの人気トーク番組『ザ・ビュー』だ。今年の中間選挙を前に番組がテキサス州の民主党上院候補2名を出演させたことがFCCの目に留まった。共和党候補に同等の出演機会を提供しなかったことが「均等時間(equal time)」ルールに違反する可能性があるとみている。

均等時間ルールとは、放送局が政治候補に時間を提供する場合、対立候補にも同等の機会を与える義務を定めた規定だ。『ザ・ビュー』は20年以上前に「正規のニュースインタビュー番組」として適用免除を受けてきたが、FCCがこの免除を覆そうとしている。ABCは申立書で「政府が特定の視点だけを規制し、他を放置する危険がある」と主張した。

融和か対決か——パラマウントとの対照

ディズニーの対応を際立たせるのが、パラマウントの戦略だ。パラマウントは昨年夏、スカイダンスとの80億ドル(約1兆2,000億円)の買収交渉を進める中で、深夜番組『レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』を打ち切った。公式にはコスト削減が理由とされたが、買収にはFCCの認可が必要であり、規制当局への配慮だったとみる向きが多い。

一方、ディズニーも過去に融和を試みている。2024年には名誉毀損訴訟で1,500万ドル(約22億円)の和解金を支払った。だが融和の効果は薄かった。FCCはABC局8市場に対し、本来2028年まで猶予のあった放送免許の更新を5月28日までに前倒しするよう命じている。深夜番組『ジミー・キンメル・ライブ!』にも免許剥奪がちらつかされ、番組は約1週間にわたり新作放送を見合わせた。

融和が安全策にならないと知ったうえで、ダマーロは対決を選んだようだ。

ストリーミングが「避難先」になる皮肉

FCCは『ザ・ビュー』だけでなく、他のトーク番組の均等時間免除も広く見直す方針を示している。放送局にとって番組編成そのものが規制リスクとなる可能性がある。

皮肉なのは、ダマーロが就任時に掲げたDisney+中心戦略が、この規制リスクの軽減策としても機能しうる点だ。ストリーミングはFCCの放送規制の対象外であり、地上波のリスクが高まるほどコンテンツのデジタル移行には追い風が吹く。

テーマパーク畑のCEOが、放送免許という20世紀の遺産を守りながら、ストリーミングという21世紀の主戦場を切り拓く——その二正面作戦を乗りこなせるかどうかが、ダマーロの評価を決めることになるだろう。