2026/06/25
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中国はEVバッテリーを即解体、米国は電力網に再利用。リサイクル戦略が米中で割れた

中国はEVバッテリーを即解体、米国は電力網に再利用。リサイクル戦略が米中で割れた

中国は世界のEVバッテリーのリサイクル能力の85%以上を握り、4月1日施行の新規則で「再利用」を捨てて金属回収を最優先に切り替えた。米国には今なお国家的なリサイクル計画がない。

なぜ米中でEVバッテリーのリサイクル戦略が分かれたのか

バッテリーの中身の金属次第だ。ニッケルとコバルトを積んだ高価な電池は解体すれば元が取れるが、中国に多い安価なリン酸鉄リチウム電池(LFP)は価値ある金属をほとんど含まず、リサイクルしても採算が合わない。

電気自動車のバッテリーは、走り始めてから10年ほどで力尽きる。長距離を走るには弱くなっているが、電気を蓄える力はまだたっぷり残っている。この「残りの寿命」の使い道は二つある。電池をそのまま蓄電装置として使うか、砕いて中のリチウム・ニッケル・コバルトを次の電池のために取り出すか、だ。

どちらを選ぶかは、結局のところ金属の値打ちで決まる。ニッケルは電池リサイクルが成り立つ最大の理由であり、コバルトはコンゴ民主共和国にほぼ依存する希少金属として高値で取引される。restofworld.orgの報道によれば、これらは新しい電池の「命綱」であり、鉱石から掘るより使用済みパックから回収するほうが安い。だからこそ、すり減った数百万個の電池に閉じ込められた金属を、米中の双方が狙っている。

違うのは、いつ取りに行くか、その一点である。

中国が「再利用」を捨て、即解体に走る理由

安いリン酸鉄リチウム電池が普及しすぎ、廃電池の山が「解体コスト以下」の価値しか持たないからだ。採算が合わない以上、中国は規制で回収を強制するしかなかった。

中国の街は、世界に先駆けて安価な電気自動車であふれた。その最初のひと山が寿命を迎えたとき、残ったのは分解する手間賃にも満たない、ただの電池の山だった。「電池が安いほど、リサイクルの採算は悪くなる」と、ロンドンの電池サプライチェーン調査会社ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスのベアトリス・ブラウニングは指摘する。「そして安い電池が増えるほど、リサイクルを義務づける規制への依存が強まる」

そこで中国は、リサイクルを国家戦略の柱に据えた。4月1日に発効した新ルールは「再利用」を目標から外し、金属回収を最優先に置いた。すでに世界のリサイクル能力の85%以上を握り、すべての電池を製造から廃棄まで追跡している。安さで世界を席巻した代償を、いまは規制の力で取り戻そうとしている。

ウェイモが示した「廃電池の第二の人生」

寿命を迎えたEV電池でも、倉庫の蓄電池としてなら5〜10年は働ける。ロボタクシーのウェイモは使用済みパックを蓄電企業に引き渡し、太陽光や風力に頼る電力網を支える「第二の仕事」を与えた。

米国とヨーロッパには、中国のように電池を砕いて精錬する能力がまだない。だが逆に、その遅れが時間の猶予を生む。ニッケルとコバルトを積んだ電池は、蓄電池として使っているあいだもリチウム・ニッケル・コバルトを失わない。だから「まず再利用、あとで回収」という順番でも金属は逃げず、その間に必要なリサイクル工場を建てればいい。

今月成立したある取引が、その姿を見せた。ロボタクシーを手がけるウェイモが、使い終わったニッケル・コバルト電池をサンタモニカの蓄電企業B2U(ビーツーユー)に引き渡すことで合意したのだ。引退したパックには、倉庫で5〜10年は動かせるだけの電気が残っているという。太陽光や風力への依存を強める電力網にとって、こうした蓄電池は心強い。「EV電池を蓄電池として延命させることで、私たちは電池の潜在能力を余さず収益化し、成長する電力需要に欠かせない安定を供給している」と、B2Uのフリーマン・ホールCEOは語っている。

路上に眠る「車輪のついた鉱山」

米国の路上を走る500万台のEVには、約225万トンの電池金属が眠っている。新たに掘らず、引退した電池から回収すれば、それ自体が巨大な鉱山になる。

ここに、米国の弱点と勝機が同居している。EVの販売は中国やヨーロッパより伸びが鈍く、世界の電池需要に占める米国のシェアは、今の約10%から2030年には5%未満まで落ちる見通しだ。鉱山も乏しく、自前のリサイクルも心もとない。そんな米国にとって、必要な金属を探す最も手近な場所は、すでに路上を走る何百万台もの車のなかにあるのかもしれない。

米最大のリサイクル企業レッドウッド・マテリアルズは、これを単なる経済の話ではなく安全保障の問題だと位置づける。リチウム・ニッケル・コバルトは電力網や軍事装備をも動かす金属でありながら、米国はその精錬済み供給の大半を中国から買っているからだ。「リチウム資源を持たない多くの国が、寿命の尽きた電池をリチウムの供給源として自給自足を目指している」と、ベンチマークのアダム・メギンソンは言う。一種の「都市鉱山」というわけだ。

ヨーロッパはすでに動き出している。EUは2027年までにリチウムの半分を、2031年までに5分の4を回収するよう求め、新しい電池に一定割合の再生金属を使うことも義務づけた。一方、米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)は、2月にこう記している。「米国は採掘でも精錬でも中国には勝てない。むしろ、回収とリサイクルという破壊的革新を一気に広げ、中国の優位を飛び越えるべきだ」

砕くか、生かすか。判断は米中で正反対に分かれたが、路上に眠る225万トンの金属がいつ動き出すかで、米国が採掘でも精錬でもない第三の道で中国の独走に追いつけるのかどうかが、見えてくるのかもしれない。