2026/06/23
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カンヌのおすすめレストラン16選、主役は有名シェフのホテルから半島の老舗へ移った

カンヌのおすすめレストラン16選、主役は有名シェフのホテルから半島の老舗へ移った

カンヌの食の中心は、半島の先端ポワント・クロワゼットへ移った。2024年5月、1928年築のビーチクラブ「パーム・ビーチ」が改装オープンし、隣町で1918年に創業した名店テトゥも復活した。

なぜカンヌの「有名シェフ」時代が終わりつつあるのか

ホテルが自前の星付きシェフを抱えるより、人気チェーンの誘致に動いているためだ。海沿いの遊歩道ラ・クロワゼットに並ぶ五つ星ホテルでは、有名シェフが腕をふるい、スーツ姿の客が法外な値段の食事をしながら商談をまとめる、というのが長年の風景だった。

ところが最近は、その熱狂が冷めつつある。たとえばオテル・マジェスティックには、高級チェーンの「ビーフバー」が新たに開業した。米グルメ媒体『Eater(イーター)』のカンヌのレストラン案内によれば、複数のホテルが独自のシェフより、すでにブランド力のある店を選び始めているという。華やかさは残るが、食の個性はむしろ薄まりつつあるのかもしれない。

食の主役は半島の先端「ポワント・クロワゼット」へ

新しい中心地は、ラ・クロワゼットの突き当たりにある高級半島ポワント・クロワゼットだ。観光客にも映画祭の客にもほとんど知られてこなかったこの一角が、一気に脚光を浴びた。

きっかけは2024年5月、1928年に建てられたビーチクラブ「パーム・ビーチ」が、イスラム建築を思わせるネオ・ムーア様式の内装を丁寧に復元して再オープンしたことだ。会員制の区画もあるが、レストランの多くは一般客に開かれている。なかでも日本の居酒屋を現代風に解釈した「ズマ」が大人気で、海を望むテラスは連日にぎわう。

穴場は旧市街ル・スュケ、手頃な地元プロヴァンス料理

観光地の喧騒を離れて地元の味を求めるなら、旧市街ル・スュケが穴場だ。カンヌでいちばん古いこの界隈では、昔ながらの店が今も静かに営業を続け、価格は良心的で、サービスも温かい。

代表格が「ターブル22」である。シェフのノエル・マンテルは、フランス料理の巨匠アラン・デュカスのもとで修業した人物だ。地元の旬の食材を使った現代版プロヴァンス料理を、肩肘張らない雰囲気で出してくれる。派手なホテルのダイニングとは対極にある、土地の記憶を感じさせる一皿が並ぶ。

復活した1918年創業の名店が、街の素顔を映す

いま最も予約が取りにくいのが、2024年に再オープンした伝説のブイヤベース店「テトゥ」だ。隣町ゴルフ・ジュアンで1918年に創業し、海辺の建築規制を徹底する政府方針によって2018年にいったん取り壊された。

その名店が、半島の新しい風景のなかでよみがえった。魚介の旨みを凝縮したブイヤベースは値こそ張るが、「見て、見られる」ためにセレブが席を奪い合うという。カンヌを訪れるなら、ホテルの華やかさだけでなく、半島の先端や旧市街の路地まで足を伸ばしてみたい。そのとき、映画祭の喧騒の裏にある街の素顔に出会えるかもしれない。