2026/05/25
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優秀なリーダーを揃えてもチームは壊れる — 経営コーチが特定した5つの構造的失敗

優秀なリーダーを揃えてもチームは壊れる — 経営コーチが特定した5つの構造的失敗

個人の成功体験がチームの足を引っ張る

キャリアの初期段階では、リーダーは「何を生み出したか」で評価される。営業成績、技術的なブレークスルー、プロジェクトの完遂——個人の成果こそが昇進の通貨だ。だが組織の上層に進むほど、チーム環境で働く比重は確実に増える。ここに逆説が潜む。個人として卓越してきた能力が、チームの有効性を損なう場合が少なくない。

Fast Companyに寄稿したエグゼクティブコーチのジェイミー・シャピロは、数百の経営チームを指導する中で、この逆説を繰り返し目撃してきたという。チームが機能不全に陥ると、リーダーはまず「個人のスキル不足」や「戦略の誤り」を疑う。だが本当の原因は、チームとして動く方法を誰も学んでこなかったことにあるとシャピロは指摘する。

静かに組織を蝕む3つのパターン

シャピロが特定した5つの失敗パターンのうち、とりわけ厄介なのは目に見えにくいものだ。

第一は「有害な礼儀正しさ」と呼べる現象だ。会議のたびに「順調です」「マイルストーンは予定通り」と全員が口を揃える。実態がそうでないにもかかわらず、問題を指摘する声は上がらない。厳しい会話を切り出す人もいない。この偽りの調和が心理的安全性を蝕み、チームの進捗を確実に鈍らせる。高パフォーマンスのチームは、むしろ建設的に衝突する。配慮を忘れず、しかし真実を語る文化を意識的に築いている。

第二は、シャピロが「意思決定負債(decision debt)」と名付けた問題だ。決定が下されない、下されても遅れる、あるいは決まったはずなのに明確に伝わらない。この3つの形態が積み重なると、チームは同じ議題を何度も蒸し返し、追加データを際限なく求め続けることになる。技術的負債と同様に、放置するほど利子が膨らんでいく。

第三は、リーダーが自部門の成果だけに最適化する傾向だ。部門目標の達成は一見成功に見えるが、組織全体では断片化が進む。部門間の競争が激化し、リソースの囲い込みが始まり、「全体にとって何が最善か」という視点が消えていく。さらに目標や役割が不明確なまま走れば、作業の重複と回避可能な衝突が次々と発生する。高パフォーマンスのチームは「自分の部門」から「私たちの組織」へと視点を切り替え、成功を集合的に定義しているとシャピロは言う。

つながりへの投資がチームの天井を決める

5つめのパターンは、多くのリーダーが見落としがちな「つながりの軽視」だ。チームメンバー同士の関係構築は、年に数回のオフサイトや任意参加の懇親会に追いやられ、日常業務の中で意識的に育てられることは少ない。リーダー自身が多忙で自分の成果に集中するため、つながりは「余裕があればやること」リストに留まりがちだという。

しかしシャピロの最近の研究では、つながりこそがチームパフォーマンスの基盤だという結果が出ている。孤立感が広がれば信頼は侵食され、チームは本来の力を発揮できなくなる。高パフォーマンスのチームは、強い関係を築き、信頼を育て、互いにひとりの人間として向き合うことに意識的な時間を投じている。

注目すべきは、5つのパターンがすべて「個人のスキル」や「戦略」の問題ではなく、チームとしての「動き方」の問題だという点だろう。つまり、メンバーを入れ替えなくても、動き方を変えることで成果は変わりうる。「有害な礼儀正しさ」を手放し、意思決定負債を返済し、部門の壁を越えてつながりに投資できるチームは、個々の才能の総和を超える成果に手が届くかもしれない。