1日17ドルの通勤コスト
米国とイスラエルによるイラン攻撃と、ホルムズ海峡の原油輸送の停滞が、全米のガソリン価格を直撃した。シアトルではガソリン1リットルあたり約1.6ドルまで上昇し、1年前から約4割の値上がりだ。全米では4月に1ガロン4ドルを4年ぶりに突破し、その後も上昇が続いている。
コンサルティング会社ガートナーの調査によれば、米国の平均通勤コストは1日17.17ドルに達し、11%の増加となった。駐車場代、車の維持費、そしてガソリン代——とくに都市部では、クルマ通勤の経済的負担は膨らむ一方だ。一部の推計では、ガソリン価格の高止まりは2027年まで続く見通しだという。
eバイクという福利厚生
こうした中、ワシントン大学はeバイク・スクーターのサブスクリプションサービス「Ridepanda」との提携を開始した。Fast Companyの報道によると、月額45ドルからeバイクやスクーターを利用でき、保険やロック、ヘルメットも料金に含まれる。多くの場合、企業が費用を全額補助するという。
Ridepandaの特徴は、通勤スタイルに応じた選択肢の幅広さだ。駅までの短距離なら折りたたみスクーター、坂道が多ければeバイク、子どもの送迎が必要ならカーゴeバイクと、用途に応じて選べる。ワシントン大学のほか、アマゾンやグーグルなど大手企業も全米各地で導入済みだ。
約8万人が通うワシントン大学では、以前から独自のeバイク貸出を検討していたが、予算の壁に阻まれた。同大学の交通マネージャー、ブラデン・ケリーは「Ridepandaは、大学側のコストもリスクも少ない形でeバイクを提供できるモデルだった」と振り返る。
「失うものはない」選択肢
Ridepandaの登録者数は、ガソリン価格が急騰し始めた3月以降46%増加し、前年同期比では94%増となった。4月には1日の注文数が通常の311%に跳ね上がる日もあったという。新規登録者の大半は、マイクロモビリティを使ったことがない層だ。
同社の共同創業者兼CEOチンマイ・マラヴィヤによると、利用者は平均して週6回のクルマ移動をeバイクに置き換えており、従業員1人あたり年間約680キロのCO2排出削減につながる。「コスト削減になり、地球にも良く、健康にもなれる。乗り換えて失うものはない」とマラヴィヤは言う。
ケリー自身も約16キロの丘陵ルートをeバイクで通勤し、「湖のそばを走る美しいルートで、職場に着くころにはずっとリラックスした気分になる」と話す。ワシントン大学は今後、利用者データを分析し、単独乗車率を12%まで引き下げるという目標達成に向けた効果を検証する予定だ。





