2026/06/23
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グーグルがA24に7,500万ドル出資し、DeepMindと映画制作AIを共同開発へ

グーグルがA24に7,500万ドル出資し、DeepMindと映画制作AIを共同開発へ

グーグルが映画スタジオA24に初出資した狙い

グーグルのAI研究所DeepMindが、米インディー映画スタジオA24と組み、映画制作の新ツールを共同開発する。ねらいは「最先端技術と次世代エンタメの橋渡し」だという。

A24は、ホラー映画『ヘレディタリー』や、2023年のアカデミー作品賞に輝いた『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を世に送り出した独立系スタジオだ。作家性の強い作品で知られ、ハリウッドの大手とは一線を画す存在として、映画ファンから熱い支持を集めてきた。そのA24に、グーグルが約7,500万ドル(約110億円)を出資すると米テクノロジー系メディアの The Verge が報じた。検索大手が映画スタジオに資本参加するのは、これが初めてだ。

パートナーのDeepMindは、囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」で世界を驚かせたグーグル傘下の研究所である。提携は「長期にわたる複数のプロジェクト」に及ぶ予定だが、具体的な作品名はまだ明かされていない。契約は非独占で、グーグルがA24の映画・ドラマのライブラリデータにアクセスすることは認められていないという。

A24の監督自身が「AIは文化の腐敗の兆候」と断じる

今回の提携が波紋を呼ぶのは、A24に連なる作り手の一部が、生成AIに強い嫌悪を隠していないからだ。

その象徴が、YouTube発のホラー作品『Backrooms(バックルームズ)』で注目を集めた若手監督ケイン・パーソンズである。彼は今月のインタビューで、「生成AIはイノベーションというより、文化的・経済的な腐敗の広がりの兆候のように感じる」と語った。制作でこの技術を使うことに「何の喜びもない」と、言葉を選ばずに言い切っている。

業界の警戒には別の根もある。グーグルのAIモデルは、インターネット上の公開データで学習している。ディズニー、ユニバーサル、ワーナー・ブラザースといった大手スタジオは、著作権侵害を理由にAI企業と激しく争ってきた。創作の現場とAIの距離は、まだ縮まったとは言えない。

「プロンプト生成型ではない」AIという賭け

それでもA24が手を組むのは、自分たちが目指すAIが、世間の嫌う「プロンプト一発生成型」とは別物だと考えているからだ。

A24パートナーで、アドビの最高戦略責任者を務めたスコット・ベルスキーは、両社が開発するツールについて「人々が不快に感じる、プロンプトで生成するタイプのAIには似ても似つかない」と説明する。彼が掲げるのは「創作の主導権を作り手の側に残し、リスクを取る挑戦を後押しする」使い方だという。技術を作る側ではなく、使う側が道具を設計する。グーグルも公式ブログで「未来の道具は、それを使う創作者によって形づくられる」と強調した。

生成AIを拒む監督と、AIに投資するスタジオ。その矛盾を一つ屋根の下に抱えたまま、A24は道具そのものを作り手の側から作り変えようとしているのかもしれない。