2026/05/25
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ホンダがEV販売目標を撤回、ハイブリッド15車種を2030年までに投入へ

ホンダがEV販売目標を撤回、ハイブリッド15車種を2030年までに投入へ

2.5兆円の減損が迫った方向転換

ホンダは2026年5月の年次経営説明会で、次世代ハイブリッド車のプロトタイプ2車種を公開した。アコードセダンとアキュラRDXのSUVで、いずれも新開発のプラットフォームを採用し、2027年から順次投入される。

同時に発表されたのが、EV販売目標の正式な撤回だ。「2030年までにEV比率20%」「2040年までに全車をEVと燃料電池車にする」という目標を取り下げ、開発・生産リソースをハイブリッドに再配分すると明言した。3月にはEV投資関連で最大2.5兆円(約157億ドル)の減損処理を発表しており、EV関連の損失は2029年までに「解消される」見通しだという。

次世代ハイブリッドの中身

ホンダが2030年3月期末までにグローバルで投入する次世代ハイブリッドは15車種。主戦場は北米で、2029年には大型モデルの投入も予定されている。

技術面では、次世代の2モーターハイブリッドシステムのコストを30%以上削減し、新プラットフォームと電動AWDの組み合わせで燃費を10%以上改善する。比較対象は2023年投入の現行システムだ。さらに次世代ADAS(先進運転支援システム)を2028年に投入し、5年間で15車種以上に展開する計画も示された。

生産体制の転換も大きい。オハイオ州の工場をガソリン車・ハイブリッド車の生産に再編するほか、LGとの合弁で進めていたEV用バッテリー生産ラインの一部を、ハイブリッド用バッテリーの製造に切り替える。EVのために整えたサプライチェーンを、ハイブリッド向けに組み替えるという判断だ。

日本市場では軽EVに注力

興味深いのは、ハイブリッド回帰を打ち出す一方で、日本市場ではEVの拡充を進める点だろう。ホンダは軽自動車カテゴリーを中心にEVラインナップを広げる方針で、2028年には人気車種N-BOXの電動版を投入する。

北米ではハイブリッドに集中し、日本では軽EVを拡充する。市場ごとにインフラ整備の進度や消費者の嗜好が異なる以上、一律のEVシフトではなく地域別の最適解を探る判断は合理的といえる。「全社一括でEVへ」という物語は、少なくともホンダの中では終わった。

「2030年に再評価」という余白

ホンダはEVから完全に撤退したわけではない。2030年にEV戦略を再評価すると明言しており、ハイブリッドへの集中はあくまで「現時点での最適解」という位置づけだ。

EV市場の減速に直面しているのはホンダだけではない。マツダは初のEVを2年延期し、BMWは米国市場でiXの販売を終了した。業界全体が「EVか、それ以外か」の二項対立から、より現実的なグラデーションへと移行しつつある。2.5兆円の授業料を払ったホンダが、4年後の再評価で何を見据えているかは、自動車産業全体の方向感を占う一つの指標になるかもしれない。