2026/05/30
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エヌビディアCEO「AIに向かって走れ」と卒業訓示、別の大学ではブーイング

エヌビディアCEO「AIに向かって走れ」と卒業訓示、別の大学ではブーイング

「走れ、歩くな」——AI発祥の地での卒業訓示

5月11日、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOがカーネギーメロン大学の卒業式に登壇した。5,800人の学部生・大学院生を前に、ファンが繰り返したのは「これほど完璧なタイミングはない」という言葉だった。AIとロボティクスの発祥地として知られる同大学の卒業生に向かって、「AIに向かって走れ、歩くな」と呼びかけた

しかし同じ週、セントラルフロリダ大学の人文学部卒業式では、まったく異なる光景が広がっていた。来賓スピーカーがAIを「次の産業革命」と称えたところ、会場からブーイングが巻き起こったという。AIへの楽観が歓迎されるかどうかは、聴衆が自分のキャリアにどれだけ脅威を感じているかに左右されるようだ。

新卒の8割が「AIで求人が減った」

この温度差には、データの裏づけがある。AIエージェント企業11xが米国のビジネス専攻1,000人を対象に行った調査では、卒業予定者の80%が「AIによってエントリーレベルの求人が減った」と回答した。一方、求人サイトZipRecruiterの別の調査では、新卒者は将来に楽観的でありながら、AIで再定義された就職市場への準備が十分でないと感じているという結果も出ている。

不安と楽観が共存するこの状況は、AIの影響が産業や職種によって大きく異なることを反映しているだろう。コンピューターサイエンスの名門校の卒業生がAIを武器と捉える一方で、人文学系の学生が脅威を感じるのは自然な反応だ。問題は、この認識の差がそのままキャリアの格差につながるかどうかにある。

7兆ドルの投資と「誰もがプログラマー」の時代

ファンがスピーチで触れたもう一つの論点は、AI産業のスケールだった。データセンターへの投資は2030年までに7兆ドル(約1,050兆円)規模に達すると予測されており、エヌビディア自身も今年だけで400億ドル(約6兆円)をAIインフラに投じている。

「多くのタスクは自動化される。一部の職業は消える。だが、まったく新しい職業や産業が生まれる」とファンは語った。誰もがAIにツールや製品を作らせることができる時代には、誰もがプログラマーになれるという。「AIは人間の目的を置き換えない。人間の能力を増幅する」——これがファンの結論だ。

ファンはまた、「テクノロジーから後退した社会が進歩を止めたことはない。ただ、それを形づくる機会を手放しただけだ」とも述べた。AIの恩恵をできるだけ多くの人に届ける責任がこの世代にはあるという。7兆ドル規模のインフラ投資が動き始めた今、「走れ」と背中を押された5,800人が最初に踏み出す一歩は、AI発祥の地にふさわしいものになるかもしれない。