国際宇宙ステーション(ISS)ロシア区画の空気漏れは5年以上続いており、ズヴェズダ・モジュール後部の微細な構造亀裂が原因とみられる。2026年6月5日、修理作業中に飛行士5人がドラゴン宇宙船へ約90分間退避した。
ISSの空気漏れはなぜ5年以上止まらないのか
ズヴェズダ・サービスモジュール後部にある移送トンネル「PrK」の構造体に生じた微細亀裂が原因だ。ロスコスモス(ロシア国営宇宙企業)は繰り返しシーラントで補修を試みてきたが、恒久的な封止には至っていない。
PrKはプログレス補給船とのドッキングポートにつながる通路で、普段はステーション本体から隔離し低い気圧で管理されている。貨物移送や点検のたびに加圧して開放する必要があり、その過程で亀裂からの漏出が顕在化する。2026年初頭には数カ月間にわたり気圧が安定していたが、5月に漏れが再び確認された。
米テクノロジーメディア「Ars Technica」の報道によれば、NASA・ロスコスモス双方とも亀裂の根本メカニズムを特定しきれていない。加圧と減圧の繰り返しが金属疲労を進行させている可能性はあるが、公式な原因究明は現在も続く。
修理作業中に飛行士5人がドラゴンへ退避
6月5日午前9時(米東部時間)、NASAはCrew-12の飛行士4人と別便搭乗の1人に対し、スペースXのクルードラゴン「フリーダム」への退避を命じた。ステーション反対側でロシアの飛行士2人がPrKの修理を進めていたためだ。
管制官は「必要であれば宇宙服の着用も指示する」と通告しており、NASAが想定したリスクの深刻さがうかがえる。退避は約90分間続いた。ロスコスモス側が修理を中断し追加計測に切り替えたことで、NASAは安全を確認しハッチの再開放を許可した。Crew-12船長のジェシカ・メイアが管制に「ロシア側の同僚の助けは借りられないのか」と尋ねる場面もあった。
ロスコスモスの発表では、加圧中に2カ所の漏出候補が発見された。1カ所には二液型シーラント「ゲルメタール1」の初層を塗布し、もう1カ所はPrKの円錐部にあり封止準備中だという。ロスコスモスは「乗員や船内システムへの脅威はない」としたが、NASAは修理にともなうリスクの詳細について回答を控えている。
米ロ共同修理の機運は高まるか
NASAの広報担当は「ロスコスモスと協力し、空気漏れに共同で対処していく」と意欲を示した。PrKの修理はこれまでロシア側の管轄として進められてきたが、米側飛行士が退避を強いられる事態にまで発展したことで、共同対応を求める声は強まりそうだ。
ISSの運用は2030年まで予定されている。残り4年間、老朽化するロシア区画の安全維持は両国にとって避けられない課題だ。「修理のたびに退避」が常態化すれば科学実験や日常業務への影響も大きい。5年越しの亀裂が、米ロの技術協力を一段深める呼び水になるかもしれない。





