パッケージそのものが玩具になる
米テキサス州に本拠を置くバーガーチェーン、ワタバーガーが、キッズ向けメニュー「Kids Whatameal」を全面刷新した。最大の変更点は、プラスチック玩具の廃止だ。代わりに、パッケージそのものを遊びの体験に変えた。オレンジと白のストライプで彩られた箱の側面にはインタラクティブな迷路が印刷され、中には5種類のコレクティブルシールパックが入る。
スコット・ハドラーCMOはFast Companyの取材に対し、「もっと意図的で、体験主導のものを作りたかった」と語る。同社のイノベーションセンターで実施したユーザーリサーチでは、キャラクターもののプラ玩具は「あれば嬉しい」程度の存在だった。一方、シールやゲーム、フィジェット系の触覚的アイテムは、プラ玩具どころかデザートすら上回る人気を示したという。
「自分で選べる」が完食率を変える
パッケージだけでなく、食事の構成にも変化がある。バーガー、グリルドチーズ、チキンストリップといったメインから1つを選び、サイドはフライドポテトかアップルソース、さらにドリンクとデザートも自分で決められる。
ハドラーCMOによれば、「子どもはメイン、サイド、ドリンクを自分でコントロールできるとき、食事を完食する確率が高くなる」。この「自分で選べる」という設計思想は、ファストフードに限らず応用が利くだろう。ユーザーに選択権を与えることで満足度が高まるのは、製品デザインやサービス設計でも知られた原則だ。
持ち手付きの箱というフォーマットも、数種類の候補からテストで選ばれた。理由は「子どもに独立心と所有感を与える」からだという。大人のトレイではなく、自分で持ち運べる箱——この小さな設計判断が、食事の体験全体を変えている。
プラ玩具なしでも子どもの心をつかめるか
マクドナルドも2025年に期間限定で白紙のハッピーミール箱を試し、子どもが自由に絵を描けるようにした。だが、その後は従来の赤い箱に戻った。ワタバーガーのアプローチが際立つのは、一過性のキャンペーンではなく、恒常的なフォーマット変更として踏み込んだ点だろう。
プラスチック削減という環境面の利点も見込めるが、同社はそれを強調しない。あくまで「子どもにとって良い体験とは何か」というリサーチの問いが起点だ。持ち手付きの箱、側面の迷路、5種類のシール——プラ玩具なしでも子どもの心をつかめることを、ワタバーガーは証明しようとしている。

