2026/05/25
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ハーバード教授「30歳未満の鬱、最大の予測因子は『人生が無意味』」

ハーバード教授「30歳未満の鬱、最大の予測因子は『人生が無意味』」

「意味がない」が鬱の最大予測因子

ハーバード大学で幸福の科学を教えるアーサー・ブルックス教授が、新著『The Meaning of Your Life: Finding Purpose in an Age of Emptiness』で5つの洞察を共有している。ブルックスによれば、うつ病や不安障害、孤独感の増加には多くの説明が試みられてきたが、どれも決定打に欠けていた。

彼が若者との対話で繰り返し耳にした言葉は「意味(meaning)」だった。調査データは明確だ。30歳未満において、「人生が無意味に感じるか」という問いへの肯定が、臨床的うつ病と全般性不安障害の最大の予測因子だという。そしてこの「意味の危機」は35歳未満で最も顕著であり、高学歴で上昇志向の強い層——つまり一見して問題が少なそうに見える人々——に最も多くみられる。

意味を構成する3つの要素

ブルックスは哲学と心理学の知見から、「意味」を3つの構成要素に分解する。

第一は「一貫性(Coherence)」。なぜ物事はこのように起こるのか、という問いへの答えだ。宗教や科学がその役割を果たすこともある。陰謀論にのめり込む人がいるとすれば、それは一貫性を求める叫びだとブルックスは解釈する。

第二は「目的(Purpose)」。自分が今していることの理由だ。方向性や目標がなければ、人生は無意味な円を描いているように感じられる。第三は「重要性(Significance)」。自分の人生が誰にとって意味があるのか、という問いであり、本質的には「愛」の問題だという。家族に愛されているか、友人はいるか——自分の存在が誰にも関係ないと感じることが、意味の喪失に直結する。

テクノロジーが「右脳」を弱らせている

意味を見つける場所は「脳の右半球」だとブルックスは主張する。神経科学の「半球側性化(hemispheric lateralization)」理論によれば、左脳は「何を」「どうやって」という技術的な問いを処理し、右脳は「なぜ」という問い——人生の意味、愛、幸福——を扱う。

問題は、現代のハッスル文化とテクノロジーが私たちを左脳の世界に閉じ込めていることだ。朝起きてスマートフォンを確認し、Zoomで仕事をし、マッチングアプリでスワイプし、SNSをスクロールする。すべてが左脳的な「技術的問題」の連続であり、右脳を使う機会が日常から消えつつある。「シミュレーションの中で生きているように感じる」とブルックスは言う。だが人生の意味だけは、シミュレートできない。

「朝の1時間」から始まる回復

ブルックスが提案する最初のステップは、デバイス依存からの「解毒」だ。スマートフォンを海に投げ捨てる必要はないが、3つのフェンスを設けることを勧めている。起床後の1時間は触らない。就寝前の1時間も手放す。食事中は使わず、できれば誰かと食卓を囲む。

この3つの習慣だけで、右脳を探索する余地が生まれるという。その先にあるのは、対面での人間関係だ。バーチャルなつながりでは脳はうまく機能しない——これは道徳論ではなく、行動社会科学の知見だとブルックスは強調する。誰かに仕え、誰かを持ち上げ、愛する人と実際に時間を過ごす。そうすることで「意味があなたを見つける」のだという。右脳の回路を開くことは、古代からの知恵にアクセスするための扉を開くことに等しいのかもしれない。