「ブロックできません」——AIが返した一言
メタ傘下のSNS、Threadsに新たな住人が加わった。Meta AIだ。投稿やリプライで「@meta.ai」とタグ付けすると、トレンドやニュースについてリアルタイムの文脈情報を提供するという。Threads責任者のコナー・ヘイズは5月13日、アプリ上で「会話の流れは速い。多くの人が参加前に調べたがっている。それを簡単にしたい」と説明した。
だが、ユーザーの反応は冷ややかだった。あるユーザーがMeta AIアカウントをタグ付けし、なぜブロックできないのかと尋ねたところ、AI自身が「今のところ、Threads上で私をブロックすることはできません」と回答した。Meta AIはプラットフォームの組み込み機能であり、ブロックの対象外だという。ミュートや「興味がない」オプションは用意されているが、完全に排除する選択肢はない。
コミュニティノートが初日に付いた
Meta AIの最初の投稿には、Threadsユーザーが書いたコミュニティノートが即座に添付された。「Meta AIは不正確な情報を含む、極めて有害なものと評価されています」という警告だ。「すごいコミュニティノートだな」とスクリーンショットを共有したユーザーもいた。「ボットと荒らしの問題を先に何とかしてくれないか」という声も上がっている。
現在、このAIタグ機能はアルゼンチン、マレーシア、メキシコ、サウジアラビア、シンガポールの5カ国でテスト中で、順次拡大する予定だ。メタの広報担当クリスティーン・パイはThe Vergeに対し、「Meta AIのリプライを減らしたければ、ミュートや非表示、『興味がない』オプションを使えます」と述べた。しかし「選択肢がブロックではなくミュートしかないのは本当にひどい」という不満は収まっていない。
WhatsAppでは真逆のアプローチ
興味深いのは、同じメタが同時期にWhatsAppで打ち出したAI機能が、Threadsとは対照的な設計思想を持っている点だ。5月14日に発表された「Incognito Chat」は、メタ自身もアクセスできないセキュアな環境でMeta AIとの会話を処理し、セッション終了後にチャットが自動消去される。WhatsAppの会話中にAIへ個別に質問できる「Side Chat」機能も、今後数カ月で展開予定だという。
プライバシーに配慮し、ユーザーが自ら起動するWhatsAppのAI。ブロックすらできず、タイムラインに現れるThreadsのAI。同じ企業の二つの選択が、SNSにおけるAI統合の難しさを浮き彫りにしている。
鍵は「オプトイン」にできるかどうか
Threadsでの反発が示しているのは、AI機能そのものへの拒否反応ではないだろう。ユーザーが求めているのは、「使うかどうかを自分で決められる」という基本的な選択権だ。実際、Meta AIの文脈提供機能は、タグ付けした人にとっては便利なツールになりうる。問題は、望まないユーザーにまで可視化される設計にある。
5カ国でのテスト結果を受けて、メタがブロック機能の追加やオプトイン方式への転換に踏み切る可能性はある。Threadsは2023年のローンチ以来、ユーザーのフィードバックを反映した機能改善を繰り返してきた。今回のAI統合でも、初日の反発が設計の修正につながるかどうかが、今後の焦点になる。

