身長と骨格で「子ども」を見分ける
メタは公式ブログで発表した新システムの仕組みについて、投稿された写真や動画から「一般的なテーマと視覚的手がかり」を読み取ると説明している。具体的には、身長や骨格構造といった身体的特徴をAIが分析し、13歳未満と判定されたアカウントは自動的に停止される。復活にはユーザー本人による年齢確認が必要だ。
同社は「これは顔認証ではない」と明言し、「画像内の特定の人物を識別するものではない」と付け加えた。写真や動画だけでなく、投稿文、コメント、プロフィール、キャプションなども解析対象とし、未成年であることを示す「文脈的手がかり」を複合的に検出するという。
3億7,500万ドルの判決が背景に
この発表のタイミングは偶然ではないだろう。発表のわずか数日前、ニューメキシコ州の陪審はメタが州法に違反したと認定し、3億7,500万ドル(約560億円)の支払いを命じた。プラットフォームの安全性について消費者を誤認させ、子どもを性的搾取から保護しなかったことが理由だ。
メタは判決に対し、求められる変更が実施されるなら州からの撤退も辞さないと示唆している。規制と企業の緊張関係が高まるなか、骨格AI導入は「自主的に対策を講じている」姿勢を示す戦略的な一手とも読める。
「顔認証ではない」は免罪符になるか
技術的には、骨格分析と顔認証は異なる。顔認証は個人を特定するが、骨格分析は年齢層を推定するだけだとメタは主張する。年齢確認サービスを提供するYotiやk-IDの顔スキャン技術と類似したアプローチだという。
しかし、身体的特徴を機械的にスキャンすること自体への懸念は残る。「個人を特定しない」としても、ユーザーの身体データを処理している事実は変わらない。現在は米国を含む一部の国で先行導入されており、今後グローバルに展開される見通しだ。
ティーンアカウントの拡大と業界の潮流
メタは同時に、インスタグラムで2024年に導入した「ティーンアカウント」をフェイスブックにも拡大すると発表した。13〜18歳のユーザーを自動的に検出し、コンテンツ制限の強化、見知らぬ人からのメッセージ遮断、16歳未満のライブ配信禁止といった保護措置を適用する。米国での導入後、6月には英国とEUでも展開される予定だ。
メタはアプリストアやOS側での年齢確認を求める立場を一貫して取っており、この主張は米連邦議会やカリフォルニア州、コロラド州で支持を集めつつある。プラットフォーム単独ではなく、エコシステム全体で子どもを守る仕組みが整えば、骨格スキャンのような侵襲的なアプローチに頼る必要も減るかもしれない。

