神経リストバンドが手の動きを「文字」に変える
メタが5月14日に発表したアップデートの目玉は、Ray-Ban Displayに付属する神経リストバンドを使った「バーチャル手書き」機能の全ユーザー開放だ。手のジェスチャーだけでメッセージを入力でき、WhatsApp、Messenger、Instagram、さらにAndroidとiOSのネイティブメッセージアプリに対応する。
この機能はRay-Ban Displayの発表時に最も注目を集めたものだった。しかし発売時には搭載されておらず、2026年1月にWhatsAppとMessengerの早期アクセスとして限定公開されたにとどまる。約4ヶ月を経て、対応アプリを広げた全面解禁となった。
レンズ越しの世界を「録画」できるようになった
手書き機能と並んで追加された「ディスプレイ録画」も注目に値する。レンズのディスプレイに映し出されるAR情報と、目の前の現実世界の光景、そして周囲の音声を組み合わせた動画を撮影できるようになった。AR体験を他者と共有するための基盤が整ったと言えるだろう。
歩行ナビゲーションも大幅に拡充された。これまで限られた地域での提供だったが、全米に加えてロンドン、パリ、ローマといった主要都市にも対応する。WhatsAppやMessengerでのライブ字幕、InstagramのDMにおける音声メッセージの字幕化も同時に追加されている。スマートグラスが「見る」だけでなく「聞く・読む・案内する」デバイスへと進化しつつあるようだ。
アプリ開発の開放が意味するもの
メタはRay-Ban Display向けのアプリ開発を開発者プレビューとして開放した。開発者はウェブアプリをグラスにデプロイできるようになり、サードパーティの参入が始まる。
スマートグラスはこれまで、メーカーが用意した機能の範囲でしか使えなかった。スマートフォンがApp Storeの登場で爆発的に用途を広げたように、開発者コミュニティの参入はプラットフォームの価値を一変させる可能性がある。神経リストバンドで文字を書き、レンズに映る世界をサードパーティのアプリが拡張する——メタが描くARプラットフォームの輪郭は、少しずつ鮮明になりつつあるのかもしれない。

