35年勤務の幹部退任が引き金に
The Vergeが報じたところによると、マイクロソフトのエクスペリエンス&デバイス部門を率いてきたラジェシュ・ジャ上級副社長が、35年以上の在籍を経て退任する。ジャはWindows、Office、Copilot、Microsoft 365を統括してきた要職にあり、3月の退任発表以降、同社はその広大な責任範囲をどう分割するか模索を続けてきた。
新体制では4人のリーダーがそれぞれ異なる領域を受け持つ。LinkedInのCEOであるライアン・ロスランスキーは昨年Office部門の責任者に就任していたが、今回さらにMicrosoft Teamsの統括も引き受け、新設の「ワーク・エクスペリエンス・グループ」を率いることになった。LinkedIn、Office、Teamsという主要なワークツール群が一人のリーダーの下に集約された格好だ。
Copilot中心の新組織図
もう一つの大きな変化は、社内で急速に頭角を現したチャールズ・ラマンナが「Copilot・エージェント&プラットフォーム(CAP)」という新チームを率いる点だろう。Microsoft 365やDynamics 365の中核サービス、BizChat、OneDrive、SharePointなどがこのチームに集約される。ベテラン幹部のジェフ・テパーとカーク・ケーニヒスバウアーもラマンナの下に配置された。
Windows&デバイス部門は引き続きパヴァン・ダヴルリが統括する。2017年に買収したIntentionalチームもこの傘下に移り、ExcelとWordの生みの親として知られるチャールズ・シモニー技術フェローも同グループに加わった。さらにペリー・クラークがアプリケーション・システムCTOに就任し、「M365とCopilotのアーキテクチャがAzureクラウドやシリコンとどう連携するか」に注力するという。
6月30日のジャ退任後、ラマンナ、ダヴルリ、クラーク、ロスランスキーの4人はナデラCEOに直接報告する体制へ移行する。中間層を挟まない意思決定構造への転換だ。
自主退職制度で世代交代も加速
組織再編と同時に、マイクロソフトは長期勤務者向けの自主退職プログラムも導入する。年齢と勤続年数の合計が70以上の米国従業員が対象で、WindowsやOffice部門には該当者が相当数いるとみられる。詳細は従業員に対して翌日発表される予定だ。
製品ライン別だった組織を「AI搭載の業務体験」という軸で再構築し、同時に世代交代の選択肢も用意する。ExcelとWordを生んだシモニーが新たなWindows部門に籍を置き、Copilotが独立部門として立ち上がるこの再編は、マイクロソフトの35年分の遺産がAIの文法で書き直される過程なのかもしれない。

