2026/05/19
SPARKL

80年代コスプレのモール歩きがポートランドで急成長、1周年に200人集結

80年代コスプレのモール歩きがポートランドで急成長、1周年に200人集結

デスクワークが生んだ「バカバカしい」解決策

約1年前、クリスタ・キャットウッドはオフィスワークの新しい仕事に就いた。仕事には満足していたが、座りっぱなしの毎日が気になり始める。「どうやって生活に運動を組み込むか考えなきゃいけなかった」と彼女はNPRの取材に語っている

元バーレスク・パフォーマーでイベントプロデューサーでもあるキャットウッドには、一つの確信があった。「楽しくなければ続かない」。コスチューム、バカバカしさ、仲間——この3要素が揃わなければ、言い訳を作ってサボるだろうと自覚していたという。

彼女が選んだ舞台は、ポートランドのロイド・センターだ。1960年開業のこのモールは約20ブロックに広がる巨大施設だが、近年はテナントの撤退が相次ぎ、空き店舗にはウィルダネス・スキル・キャンプや非営利のシンセサイザー図書館、ライトセーバー専門店といった風変わりなテナントが入居していた。

ネオンスパンデックスの日曜行進

キャットウッドはヘッドセットマイクとポータブルスピーカーを携え、数人の友人を日曜朝のモール歩きに誘った。服装のテーマは80年代のワークアウトスタイル——レオタード、レギンス、ウインドブレーカー、スウェットバンド。色はすべてネオンカラーだ。

「Food Court 5000」と名付けられたこのグループは、数週間で参加者が増え始めた。2026年3月の1周年記念には約200人が集結し、大半が80年代ファッションを「非公式ユニフォーム」として身にまとっていたという。通常の日曜回でも約50人が歩く。

ルールは潔いほどシンプルだ。腕を大げさに振って「レースウォーキングのフォーム」で歩くこと。すれ違う人全員に手を振ること。体の声を聞くこと——途中でやめてもいいし、ホットプレッツェルを買ってもいい。そして最も重要なのが「誰も一人で歩かせない」というルールだった。

エイティーズの音楽が響く中、参加者たちはドアにハイタッチし、チェスクラブの前では声を落とし、各フロアを2周する。エスカレーターではファッションランウェイさながらにポーズを決めるのが恒例だ。「運動して、バカバカしいことをして、コミュニティを作る。最高でしょう」と、常連のマライア・アーリックは笑う。

「楽しさ」が運動の最強の接着剤になる

雨の多いポートランドの冬でも屋内で歩ける利点を挙げる参加者は多い。全年齢が参加できる包容性も、このグループの強みだろう。

運動の継続に「社会的つながり」が有効であることは多くの研究が裏づけてきた。だが Food Court 5000 が示唆するのは、もう一歩先の話かもしれない。仲間の存在に加えて「バカバカしいほど楽しい」という要素が加わると、運動は義務から遊びに変わる。ジムの会員権やフィットネスアプリに月額料金を払うのとは対照的に、ここで必要なのはスパンデックスとスピーカーだけだ。

空きモールが日曜の遊び場になる

ロイド・センターの空きテナント問題は、アメリカ各地のモールが直面する課題と重なる。だがFood Court 5000 の取り組みは、衰退した商業空間をコミュニティの運動場に転用できることを示している。

キャットウッドが始めたのは、ジムでもアプリでもなく、日曜朝のコスプレ散歩だった。それが1年で200人を動かした。ネオンスパンデックスとエスカレーターのポーズ、そして「誰も一人で歩かせない」というルールが、空きテナントだらけのモールを毎週の遊び場に変えつつあるようだ。