大手3社が揃った縦型フィード競争
アマゾンがPrime Videoアプリに「Clips」と名付けた縦型ショート動画フィードを追加する。映画やドラマの短いスニペットを縦スクロールで閲覧でき、気になった作品はそのままフル視聴、レンタル、購入に進める仕組みだ。
ネットフリックスとディズニープラスはすでに同様の縦型フィードを導入済みで、これで英語圏の主要ストリーミング3社が揃ったことになる。Prime Videoは以前からNBAのハイライト映像でTikTok風フィードを試していたが、今回は映画・ドラマのカタログ全体へと対象を広げた。
「何を観るか決められない」を解く
Clipsフィードは視聴履歴をもとにパーソナライズされ、「訪れるたびに新しいコンテンツが表示される」とPrime Videoは説明している。ウォッチリストへの追加機能や、テキスト・メール・SNS経由で友人にクリップをシェアする機能も備わる。
ストリーミング各社が縦型フィードに注目する背景には、共通の課題がある。カタログが膨大になるほど、ユーザーは「何を観るか」を決められない。選択肢の多さがかえって離脱を招く「選択のパラドックス」は、コンテンツ過多のストリーミングでとりわけ深刻だ。縦型フィードは、アルゴリズムによる「偶然の出会い」でこの問題を和らげる試みだろう。
UIの先にある編集力の勝負
Clipsは現在、米国のiOS、Android、Fireタブレットの一部ユーザー向けに先行提供が始まっており、今夏に本格展開する予定だ。
3社が同じUI形式に収斂したことで、差別化の軸は「何を見せるか」に移りつつある。15秒のクリップで映画1本を選ばせるには、どの場面を切り出すかが決定的に重要になる。SNSのショート動画と違い、ストリーミングのクリップはネタバレと引きのバランスという独自の難題を抱えている。その場面選びの編集力こそが、縦型フィード時代の次の競争軸になるかもしれない。

