RGB LEDはなぜ「本命」なのか
2026年のテレビ市場では、RGB LEDバックライトが最大のトレンドになっている。従来のミニLEDテレビが青色LEDを光源にし量子ドットで色を変換するのに対し、RGB LEDは赤・緑・青の3色LEDをゾーンごとにグループ化し、表示する映像に応じて色付きのバックライトを直接生成する。理論上は、量子ドットに頼らずとも鮮やかで彩度の高い色を実現できる。
TCL、ハイセンス、サムスン、LG、ソニーといった主要メーカーが相次いでRGB LED搭載モデルを投入しており、業界全体がこの技術に舵を切りつつあるようだ。
85型を並べて見えた「色クロストーク」
ロサンゼルス・コンベンションセンターで開催されたDisplay Week 2026の会場で、量子ドットメーカーのNanosysが比較デモを実施した。85型のスーパー量子ドット(SQD)搭載ミニLEDテレビと、同じく85型のRGB LEDテレビを隣に置き、まったく同じ映像を同時に再生するという内容だ。
デモでは、原色と補色のカラーボックスを並べたスライドが使われた。白い十字を各ボックスに重ねると、RGB LED側では十字の周囲の色が薄くなり、彩度が落ちる現象が肉眼で確認できたという。色付きバックライトが隣接するピクセルやゾーンに漏れ出す「色クロストーク」と呼ばれる問題だ。BT.2020色域の測定でも、白い十字を導入するとRGB LED側の色域カバレッジが縮小し、特に青と緑のカラーポイントで顕著な変動が見られた。
実際の映像コンテンツでも影響は出ていた。鮮やかな赤い服を着た人物の肌が赤みを帯びるなど、バックライトの色が意図しない領域に「にじむ」現象が確認されたとされる。
デモの説得力と、読み解くべきバイアス
ただし、このデモには明確な利害関係がある。Nanosysは量子ドットを製造するメーカーであり、RGB LEDが普及すれば自社の存在意義が問われる立場だ。比較に使われたテレビはTCL X11L(SQD搭載)と、おそらくTCL RM9L(RGB LED搭載)とThe Vergeは報じているが、Nanosys側はRGB LEDモデルの機種を公式には認めていない。
Nanosysのジェフ・ユレック副社長(マーケティング担当)によれば、両テレビともFilmmaker Modeに設定し、色はネイティブにして最大の色域を出せる状態にしたという。条件を揃えたデモではあるが、量子ドットメーカーが自社技術に有利な比較対象やテスト条件を選んだ可能性は排除できない。
とはいえ、色クロストーク自体はRGB LEDバックライト構造の理論的な弱点として以前から指摘されてきた問題だ。デモに誇張が含まれていたとしても、問題の存在そのものを否定する材料は現時点では少ない。
競争が画質を底上げする
RGB LED技術はまだ初期段階にある。色クロストークの問題は、ゾーン制御アルゴリズムの改善やLEDの微細化によって今後軽減される可能性がある。一方、量子ドット技術も「スーパー量子ドット」への進化を続けており、両者の競争はテレビの画質全体を底上げする方向に働くだろう。
重要なのは、展示会のデモやスペックシートだけで判断しないことだ。実際の視聴環境で、自分が普段見るコンテンツを映して比較するのが最も確実な方法と言える。RGB LEDと量子ドットの技術競争が続く限り、消費者が手にするテレビの画質は着実に向上していく。

