2026/08/23
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ベビーカーを押して走る親は怪我が55%少ない、米大学が過負荷リスクを調査

ベビーカーを押して走る親は怪我が55%少ない、米大学が過負荷リスクを調査

1,000マイル(約1,600キロ)を走るごとに、ベビーカーを押して走った親の怪我の発生率は、押さない親より55%低かった。米科学誌『PLOS One』(プロス・ワン)に掲載された調査による。

なぜベビーカーを押すと怪我が減るのか

ベビーカーを押して走ると歩幅が縮み、スピードが落ち、体重の一部が腕にも分散されるためだ。関節にかかる衝撃が小さくなり、使いすぎによる怪我が起きにくくなる。

『PLOS One』に掲載された今回の研究は、親たちが自己申告した走行距離と怪我を分析した。すると、走行距離1,000マイル(約1,600キロ)あたりの怪我の発生率は、ベビーカーを押した親のほうが押さなかった親より55%低かった。数字だけ見れば、荷物を増やしたほうが体を痛めにくいという逆説になる。

「ベビーカーを押して走ると、脚だけでなく手にも力を逃がすので、体重が分散されるのです」。そう語るのは、研究の筆頭著者でペンシルベニア州立大学バークス校の運動学・機械工学准教授、アリソン・アルトマン=シングルズだ。過去の研究でも、ベビーカーとともに走ると歩幅もスピードも落ち、関節への負荷が下がることが確かめられていた。つまり「押しにくさ」が、そのままブレーキとして働いている。

調査が見たのはどんな親たちか

対象は、親になる前からのランナーだった人々だ。週に5マイル(約8キロ)以上を走り、子どもが生後6か月から3歳の時期にベビーカーを押して走っていた。

ここは読み飛ばせない前提だろう。運動経験のない人がいきなりベビーカーを押して走れば安全、という話ではない。もともと走る体を持った親が、育児という制約の中でどう走り続けるかを追った調査だ。データが自己申告に基づく点も、割り引いて読む必要がある。

それでも示唆は小さくない。子どもが生まれた途端、走る時間も体力も奪われると感じる親は多い。だが実際には、子どもを連れて走ることそのものが、無理のないペースへと親の走りを矯正していた可能性がある。制約が、結果として体を守っていたわけだ。

子連れでも、走ることはあきらめなくていい

ベビーカーを押すランニングは、育児中の親が運動を続けるための現実的な選択肢になりうる。子どもを預ける相手を探さなくても、玄関を出ればそのまま走り出せる。

その可能性の極端な例が、8月のある土曜にクリーブランドで生まれた。ひとりの父親が、ベビーカーを押して走る1マイル(約1.6キロ)で4分17秒7という世界記録を打ち立てたのだ。前を向いて眠る子どもを乗せたまま、大人ひとりが全力で駆ける光景は、育児と運動が別物だという思い込みを軽やかに裏切る。

もちろん、誰もが記録を狙う必要はない。速さより、走り続けられることのほうが体には効く。ベビーカーを押す腕と、地面を蹴る脚。その二つに体重を預けたとき、育児の時間と自分の時間は、案外ひとつの一歩の中に重なっているのかもしれない。