2026/05/30
SPARKL

シカゴ大学が年収25万ドル未満の授業料を無料化、名門私大の免除競争が加速

シカゴ大学が年収25万ドル未満の授業料を無料化、名門私大の免除競争が加速

年間総額10万ドルの大学が「無料」を打ち出す

シカゴ大学は2027年秋から、世帯年収25万ドル未満の学部生に対して授業料を全額免除するとFast Companyが報じている。年収12万5,000ドル未満の家庭には、授業料に加え寮費・食費・諸経費もすべて免除される。同大学の年間授業料は7万1,325ドル、寮費や食費を含めた通学総額は9万8,301ドルに達する。

入学審査・財政支援担当学部長のジェームズ・ノンドーフは「多くの家庭が大学進学の費用に不安を感じている今、支援を抜本的に拡大・簡素化した」と語った。同大学はすでに年間2億2,500万ドル以上の奨学金を支給しており、今回の制度でこの額はさらに増える見込みだという。

名門私大の「免除競争」

シカゴ大学の動きは単独のものではない。ノースウェスタン大学はすでに世帯年収15万ドル未満の学生に授業料を免除しており、イェール大学も2026-27年度から年収20万ドル未満を対象に同様の制度を導入する。シカゴ大学が設定した25万ドルという基準は、主要私大の中で最も高い水準だ。

背景には私立大学の学費高騰がある。カレッジボードの調査によると、2025-26年度の私立非営利4年制大学の平均授業料は4万5,000ドルで、前年比1,750ドルの上昇となった。対照的に、公立4年制大学の州内学生向け授業料は2012年のピーク以降、下がり続けている。

名門私大が学費を引き上げながら、同時に「実質無料」の対象を拡大していく構図は興味深い。「定価」を払うのは年収25万ドル以上の富裕層に限られ、大多数の学生は奨学金で通うことになる。大学の運営は授業料収入よりも、巨額の基金運用益や寄付金に依存する構造へとシフトしているとみられる。

学費ではなく学びで選ぶ時代へ

ポール・アリヴィサトス学長は「最も優秀な人材が参加できるようにすることが使命だ」と述べた。名門私大間の「手厚さ競争」は、学生にとっては明確にプラスだろう。年収25万ドルという基準は米国の上位中間層まで幅広くカバーしており、「名門私大は富裕層のもの」という認識を変える可能性がある。

2027年秋、シカゴ大学を志望する家庭は「いくらかかるか」ではなく「何を学びたいか」で進学先を決められるようになる。ノンドーフ学部長は「学びへの愛と、卒業後の有意義な人生の準備に集中してほしい」とも語っている。学費の壁が下がった先に、どんな学生が集まり、どんな知的コミュニティが生まれるか。その答えは、最初の世代が卒業する2031年ごろに見えてくるだろう。