2026/05/31
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反ワクチン運動の歴史は300年、MIT教授が詐欺師・信奉者・冷笑家の3系譜を新著で追う

反ワクチン運動の歴史は300年、MIT教授が詐欺師・信奉者・冷笑家の3系譜を新著で追う

MIT科学ライティング教授トーマス・レベンソンの新著『A Pox on Fools』は、反ワクチン運動を「信奉者」「詐欺師」「冷笑家」の3つの系譜に分類し、300年の歴史を追跡している。

反ワクチン運動の歴史を貫く3つの論法

反ワクチンの主張は、大きく3つに分けられる。「ワクチンは間違っている」という信念型、「ワクチンは有害だ」という危険型、そして「接種の強制は許されない」という自由型だ。

レベンソンの新著が明らかにするのは、これら3つの論法がいずれも18世紀初頭から存在していたという事実である。1721年、ロンドンではレディ・メアリー・ワートリー・モンタギューが、ボストンではコットン・マザーが、天然痘の接種キャンペーンを開始した。オスマン帝国の女性たちやアフリカの人々から学んだ手法だった。反発は即座に起きている。

「病にかかるかどうかは神の意志であり、人間が介入するのは冒涜だ」。これが最初期の反対論だった。19世紀に入ると、ロマン主義者たちが「神」を「自然」に置き換えたが、論理構造は驚くほど変わっていない。ワクチンは「自然」への介入であり、清潔で正しい暮らしさえしていれば病気にはならない、と彼らは主張した。

なぜ同じ論法が300年間、説得力を保ち続けるのか

「自然に任せれば健康でいられる」という主張が根強いのは、部分的には正しかったからだ。19世紀の公衆衛生革命──上下水道の整備、食品衛生の改善──は感染症の蔓延を実際に抑えた。

だが衛生環境の向上だけでは、病原体への曝露を防ぎきれない。当時、乳幼児の約40%が5歳を迎える前に感染症で命を落としていた。「昔の平均寿命は30代」という通説の実態は、大人が30代で死んでいたのではなく、膨大な数の子どもの死が平均を押し下げていたことを意味する。現代の先進国でその光景を目にしないのは、まさにワクチンの成果だ。

「ワクチンは有害だ」という主張にも、一種のパラドックスが潜む。接種の副反応──注射の痛み、腕の腫れ、一時的な発熱──は誰の目にも見える。しかし、ワクチンが防いだ死は見えない。レベンソンが指摘するように、ワクチンの成功があまりに完璧だったために、恩恵そのものが「当たり前」として忘れ去られた。ワクチン開発の歴史に悲劇的な失敗があったことは事実だが、300年の蓄積データはワクチンの有効性と安全性を圧倒的に裏付けている。

3つ目の「強制は許されない」という論法は、科学ではなく哲学の領域に属する。個人の権利と社会全体の利益が衝突するときに生じる、根源的な問いと言える。レベンソンはここに、連帯という概念の脆さを見ている。

300年分のデータが持つ静かな説得力

300年前と決定的に異なる点がある。細菌学と免疫学の発展により、ワクチンがなぜ効くのか分子レベルで説明できるようになった。あらゆる感染症について、ワクチン導入後に感染率と死亡率が激減したデータも蓄積されている。

ワクチン開発に生涯を捧げたスタンリー・プロトキン(93歳)は「長く生きすぎたことを後悔しかけている」と語った。反ワクチンの声が再び大きくなる現状への嘆きだ。だがレベンソンの著書が同時に示すのは、こうした揺り戻しが歴史上何度も起きてきたという事実でもある。

天然痘の膿を腕に擦り込んだ1721年の医師たちは、300年後にも同じ議論が続いているとは想像しなかっただろう。だが同時に、その試みから始まった疫学データがこれほどの説得力を静かに蓄えるようになるとも、おそらく予想していなかった。