「縮小」が好材料になる逆説
ウェンディーズは2025年第4四半期末時点で米国内に5,979店舗を展開していた。それが2026年第1四半期末には5,805店舗へと減少し、差し引き174店舗が姿を消した。ケン・クックCFO兼暫定CEOは、年内にさらに200〜350の不採算店舗を閉じる方針を決算説明会で明らかにしている。
米国の既存店売上高は前年同期比7.8%減。数字だけ見れば深刻だ。ところが四半期売上高は5億4,060万ドル(アナリスト予想5億2,048万ドルを上回る)、調整後1株当たり利益も12セントと予想の10セントを超えた。株価は一時4%以上跳ね上がった。
不採算店を切り離すことで利益率が改善し、全体の数字が押し上げられる——投資家はその構図を素直に評価したようだ。
米国ファストフードを覆う逆風
ウェンディーズだけの問題ではない。米国のファストフード業界全体で来店客数が減少傾向にある。背景にあるのは食料品価格と生活費の高騰だ。外食が「手軽で安い選択肢」だった時代は遠のきつつある。
こうした環境下で、店舗数の維持にこだわるか、それとも絞り込んで一店舗あたりの収益力を高めるか。ウェンディーズは後者を選んだ。クックは「ターンアラウンドの初期段階にある」と認めつつも、注文精度や顧客満足度といったオペレーション指標が改善していると強調した。
メニュー面でも動きがある。「ビギー」と呼ばれる新プラットフォームの投入、プレミアムハンバーガーの刷新、新しいチキンサンドイッチの展開など、「安さ」ではなく「質」で勝負する方向へ舵を切りつつある。
中国1,000店舗という賭け
国内で縮む一方、海外では攻めに転じている。国際事業のシステムワイド売上は前年同期比6%増と堅調だ。そしてFast Companyが報じたところによると、クックは決算説明会で中国市場への本格参入を発表した。今後10年で最大1,000店舗を展開するフランチャイズ契約を締結したという。
米国市場が飽和し、消費者の財布の紐が固くなるなかで、成長の軸を海外に移す判断は理にかなっている。マクドナルドやスターバックスが先行してきた中国市場に、ウェンディーズがどこまで食い込めるかは未知数だが、少なくとも「国内の不振を国内だけで解決しようとしていない」という点は明確だ。
「痛みを伴う改革」の先にあるもの
店舗閉鎖は、そこで働く従業員やフランチャイズオーナーにとっては厳しい現実だろう。だが決算の数字は、この戦略が財務的には機能し始めていることを示唆している。売上高は前年同期比3.3%増。市場予想を上回る利益。株価の反応もポジティブだった。
クックは「持続可能な成長と長期的な価値創造に向けた基盤を強化している」と語った。ファストフード業界が「数で勝つ」モデルから「質で残る」モデルへと移行するなかで、ウェンディーズの実験は他のチェーンにとっても一つの指標になるかもしれない。





