クラウドからドライバーを巻き戻す仕組み
マイクロソフトが開発した新機能「Cloud-Initiated Driver Recovery」は、Windows Update経由でインストールされた問題のあるドライバーを、以前の正常なバージョンへ自動で置き換える。同社プリンシパルプログラムマネージャーのギャレット・デュシェーヌはThe Vergeの取材に対し、「ドライバーに品質上の問題が確認された場合、マイクロソフトがクラウドから回復アクションを開始し、ユーザーやハードウェアパートナーの手動介入なしに問題のあるドライバーを置き換えることができる」と説明した。
注目すべきは、検知から修復までの流れがすべてクラウド側で完結する点だ。従来はハードウェアメーカーが修正版ドライバーを公開するか、ユーザー自身がデバイスマネージャーから手動でロールバックするしかなかった。どちらも時間がかかり、一般ユーザーには敷居が高い。現在はハードウェアパートナーとのテスト段階にあり、9月から段階的な展開が予定されている。
ドライバー不具合はなぜ厄介だったか
Windows PCを長く使っていれば、ドライバー起因のトラブルに一度は遭遇したことがあるだろう。画面が突然ブラックアウトする、Wi-Fiが切断される、プリンターが認識されなくなる——症状は多彩だが、原因がドライバーだと気づくまでに時間がかかる。気づいたあとの手動ロールバックも、デバイスマネージャーから該当ドライバーを探して操作する必要があり、ITに詳しくないユーザーには難しかった。
さらに厄介なのは、問題のあるドライバーがWindows Update経由で「公式に」配信されてくる点だ。ユーザーからすれば「信頼してアップデートしたのに壊れた」という体験になり、Windows Updateそのものへの不信感につながってきた。クラウド起点の自動回復は、この信頼回復の第一歩とも言える。
「邪魔しないアップデート」への転換
マイクロソフトはドライバー回復と並行して、Windows Update全体の体験も見直している。更新の一時停止を何度でも延長できるようになるほか、初期セットアップ時に更新をスキップする選択肢や、保留中の更新をインストールせずに再起動・シャットダウンするオプションも追加される。
いずれも「ユーザーの作業を中断しない」という方向性で一貫した改善だ。Windows Updateは長年「突然再起動がかかって作業が消えた」という不満を集めてきたが、マイクロソフトはようやくユーザー体験を最優先に据え始めたようだ。9月の正式展開後、10億台規模のデバイスで実際にどの程度トラブルが減るか、最初の検証データが出るのは年末になるだろう。

