2026/05/27
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ジム・ヘンソン工房が初の一般見学を開始、1人150ドルで「秘密のソース」を体験できる

ジム・ヘンソン工房が初の一般見学を開始、1人150ドルで「秘密のソース」を体験できる

60年間「匿名」だった工房が扉を開けた理由

カーミット、ミス・ピギー、ビッグバード、クッキーモンスター。世界中の子どもが知っているこれらのキャラクターは、ニューヨークの巨大な倉庫の奥で、数十年のキャリアを持つ職人たちの手で一体ずつ作られてきた。だが彼らの存在は長らく「匿名」だった。

ジム・ヘンソンが1960年代にマンハッタンで創設したクリーチャーショップは、市内を何度か移転しながら2009年からクイーンズに拠点を構えている。2026年、同工房は初めて一般向けツアーを開始した。クリエイティブ・スーパーバイザーのジェイソン・ウェーバーは「ポップアップストアとは違う。何十年も訓練を積んだ職人が、一点ものを手作りしている現場を見せる機会だ」と語る。

ツアーの中身と「撮影禁止」の境界線

毎週土曜に開催される80分のツアーは、まずショー用の実物プロップが並ぶ専用展示室から始まる。セサミストリートのオスカーがゴミ箱に収まるディスプレイ、1982年の映画『ダーククリスタル』の黒い玉座、複数の操演者が必要な『フラグルロック』のジュニア・ゴーグの実物大パペットが迎える。

写真や動画が許可されるのはこの展示室だけだ。工房の作業スペースに入ると撮影は禁止になる。制作途中の作品や企業秘密が至るところにあるためだという。色とりどのファー、テクスチャー生地、パペットのパーツや衣装が棚や引き出しからあふれる空間を、参加者は目だけで記憶に焼き付ける。

「体験」を売る老舗工房のビジネス判断

1人約2万2,500円(150ドル)というツアー価格は、テーマパークの入場料に匹敵する。だがショップ・ディレクターのメリッサ・クレイトンが「すべてがカスタム、すべてがビスポーク」と言い切るように、ここで見られるのは量産品の展示ではない。

現在の工房はホラー映画『Five Nights at Freddy's』、児童映画『かいじゅうたちのいるところ』、1990年代のシットコム『ダイナソーズ』など幅広いジャンルを手がけてきた。取材時にはタイムズスクエア近くの劇場で上演予定の『フラグルロック』ミュージカルの衣装制作が進行中だった。マペットの権利はディズニーが保有し、セサミストリートのキャラクター権利はセサミが持つが、物理的な制作拠点としてのクリーチャーショップは依然としてエンターテインメント産業の供給源であり続けている。

「秘密のソース」を作る側になった職人たち

シニア・パペットビルダーのシエラ・シェーニングにとって、この工房で働くことは「夢のまた夢」だった。幼少期に繰り返し観たのは、デヴィッド・ボウイ主演のヘンソン作品『ラビリンス』(1986年)。「あの幻想がどうやって作られているのか、ずっと知りたかった」と彼女は語る。「いまは秘密のソースを全部知っていて、自分がそれを作っている」。

ジム・ヘンソンが1990年に亡くなってから36年。デジタル全盛の時代に、手仕事の職人技を「見せる」ことが新たな収益源になりうると証明できれば、クリーチャーショップの次の60年はまた違った形で続いていくだろう。