2026/07/11
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大草原の小さな家、Netflixがリメイク。米批評家は「70年代版を見返したくなる」

大草原の小さな家、Netflixがリメイク。米批評家は「70年代版を見返したくなる」

1974年から1983年まで放送された「大草原の小さな家」は、原作者ローラ・インガルス・ワイルダーの自伝的な小説が土台になっている。Netflix版は同じ登場人物と開拓時代の舞台を受け継ぎながら、手持ちカメラと極端なクローズアップという新しい撮り方を選んだ。

なぜNetflixのリメイクはオリジナルに及ばないのか

及ばない最大の理由は、撮影スタイルにある。手持ちカメラと極端なクローズアップが、物語よりも「カメラの存在」そのものに観客の注意を向けさせてしまうためだ。

Netflixが手がけた新しい「大草原の小さな家」は、原作と同じ登場人物、同じ舞台を用意しながら、批評家の心をつかめなかった。米公共ラジオNPRで長年テレビ評を担当するデイヴィッド・ビアンクーリは、NPRに寄せたレビューで、その違和感を撮影手法に見ている。南北戦争の帰還兵ジョン・エドワーズと母インガルス夫人が激しく言い争う場面は、本来なら胸に迫るはずだった。しかし手ブレする至近距離の映像が、感情よりも技法を前面に押し出してしまう。

原作や70年代版でうまく機能したドラマチックな転換点も、新版では効果が薄い。伏線の置き方や見せ方が十分に練られていないためだ、と評者は指摘する。

唯一受け継がれた「少女の視点」

Netflix版が唯一守り抜いたのは、物語を幼いローラの目線で語る構造だ。演じるアリス・ハルシーの演技は、本作最大の見どころとされる。

原作者ローラ・インガルス・ワイルダーは1867年、南北戦争の直後に生まれた。丸太小屋で過ごした自らの子ども時代を、1930年代になって小説へと綴った作家だ。開拓生活の喜びも、苦労も、重労働も、すべて聡明な少女の視点から描いたのがこのシリーズだった。

新版でローラを演じるのは、ドラマ『Lessons in Chemistry(レッスン・イン・ケミストリー)』で聡明な娘役を好演したアリス・ハルシーだ。制作を統括するのは『The Boys(ザ・ボーイズ)』などの脚本で知られるレベッカ・ソネンシャインで、原作にはない北米先住民オセージ族の一家を新たに登場させるなど、独自の脚色も加えている。それでも物語の語り手をローラに据える一点だけは、けっして動かさなかった。もう一人、評者が印象に残った俳優として挙げるのが、ジョン・エドワーズ役のウォーレン・クリスティだ。冬が来る前に一家の丸太小屋づくりを手伝う、孤独で時に酒に溺れる帰還兵を演じている。この二人の熱演を除けば、懐かしいタイトルは新しい物語を支えきれていない、というのが評者の見立てに近い。

半世紀前のドラマが、いまも「響く」理由

皮肉にも、この新版は視聴者に旧版を見返させる結果を生んでいる。評者自身、記憶を確かめようと70年代版に戻り、いまも色あせない手応えを再確認したという。

1974年から1983年まで続いたオリジナルのTVシリーズは、西部劇『ボナンザ』のリトル・ジョー役で人気を得たマイケル・ランドンが、自ら父インガルス役を演じ、NBCに持ち込んだ作品だった。とりわけ初期のエピソードは原作に忠実で、開拓者と先住民の距離感も丁寧に描かれている。オセージ族の族長がインガルス家を訪ねてくると、父は彼を中へ招き入れて一服を勧めた。母や姉はおびえたが、ローラだけは心を開き、その境遇に同情する。

最新の機材で撮り直したリメイクが、半世紀前の素朴な語り口に届かない。そこには、物語を生かすのは技術ではなく「誰の目で語るか」だという、静かなヒントが残されているのかもしれない。オリジナル全話は動画配信のPeacock(ピーコック)で見られる。まずは新旧を見比べてみるのも悪くない。