世界の食卓が一つの街に
ロンドンは、世界で最も多様な食文化を持つ都市の一つだ。Eaterが公開した最新の「ロンドン・ベスト38」には、点心からミシュラン2つ星のインド料理、ニューヨークスタイルのピザ、ナチュラルワインのバーまで、驚くほど幅広いジャンルが並ぶ。
選者のアダム・コグランは、2017年にEater Londonを立ち上げ、2023年の日刊終了まで現地のレストランシーンを取材し続けた編集者だ。約10年にわたって更新を重ねてきたこのリストには、パンデミックやブレグジット後の激動を経てもなお生き残り、進化し続けた店だけが残っている。
価格帯も幅広い。1皿約1,500円以下の手軽な一品から、メインが約4,500円を超えるファインダイニングまで、予算に応じた選択肢がそろう。
2026年5月の注目3店
最新の更新で加わった3店が、ロンドンの食の多様さを体現する。
1店目はソーホーに登場したImpala。Kiln、Brat、Smoking Goatで知られるSuper 8グループが、4年の歳月をかけて開いた北アフリカ料理の新店だ。シェフのミードゥ・サードが手がけるグリル料理が、早くも話題を集めているという。
2店目は、ベスナルグリーンのVincenzo's Pizza。ワトフォードから進出したこの店は、ニューヨークスタイルのスライスピザと「グランマパイ」で勝負する。ロンドンでアメリカ式ピザが高く評価される事実は、この街の懐の深さを示しているだろう。
3店目は、メイフェアのGymkhana。ミシュラン2つ星を持つインド料理の名店で、セレブリティにも愛される一軒だ。一度リストから外れた後の再選出は、変わらぬ実力の証とも言える。
ロンドンで「外さない」ための視点
38店のリストは、ロンドンを訪れる旅行者にとって実用的な道標になる。ロンドンは選択肢が膨大な分、情報なしに歩くと「観光客向けの高くて凡庸な店」に当たりやすい。
コグランが語るように、ロンドンは「食事で失敗しやすいが、失敗する言い訳もなくなった」都市だという。シナシル(ナイジェリアのクレープ状の料理)やペッパーポット(カリブ海のシチュー)、スウィートブレッド・スヤ(西アフリカ風の串焼き)といった、日本ではまず出会えない料理が日常的に食べられる点は、パリやニューヨークとも異なるロンドン固有の強みだろう。
次のロンドン旅では、定番のフィッシュ&チップスを一食減らして、シナシルやペッパーポットに挑戦してみるのも面白いかもしれない。

