カンザスでも知られていないご当地サラダ
ウィチタのガーリックサラダは、アメリカの食文化の中でも極めてニッチな存在だ。「刺激的だが爽やか」と形容されるこの料理は、カンザス州内でさえほとんど知名度がないという。
ワシントン・ポストのジェド・ポートマン記者が「全米が注目すべきご当地料理」として紹介したことで、この中西部の一皿に光が当たった。ウィチタと聞いて特定の料理を思い浮かべられる人は、アメリカ国内でもごく少数だろう。
「世界一有名なガーリックサラダの店」の今
このサラダを象徴する存在だったのが、ウィチタのDoc's Steak Houseだ。すでに閉店したこのステーキハウスの外壁には、かつて「HOME OF THE WORLD FAMOUS GARLIC SALAD(世界的に有名なガーリックサラダの本拠地)」と書かれた看板が掲げられていた。
現在、その看板の文字はほとんど剥がれ落ちている。だが、何世代にもわたる常連客たちは、読みにくくなった文字列からかつての名店の面影を読み取ることができるという。「世界的に有名」を自称しながら、実際にはカンザス州外にほとんど知られていなかった——その矛盾こそが、ローカルフードの愛おしさかもしれない。
ローカルフードが旅に出るとき
アメリカでは近年、全国チェーンでは味わえない「その街にしかない料理」への関心が高まっている。旅先で地元の名物を探す「フードツーリズム」は、単なるグルメブームを超え、地域経済を支える力にもなりつつある。
ウィチタのガーリックサラダがこの先どこまで広がるかはわからない。だが、ワシントン・ポストが「全米が注目すべき」と評したことで、この一皿の存在は少なくともカンザスの外に届いた。次にウィチタを訪れる理由が、もう一つ増えたことは確かだ。

