12歳から始まった喪失の連鎖
マーティン・ショートといえば笑いだ。1980年代にはカナダのコメディ番組SCTVとSNLでエド・グリムリーやネイサン・サームといった強烈なキャラクターを生み出し、2000年代にはジミニー・グリック、近年は『Only Murders in the Building』のオリバー・パトナム役で新たなファン層を獲得した。世代を超えて愛されるコメディ俳優だ。
だが、華やかなキャリアの裏で、ショートは何度も家族との別れを経験してきた。NPRのインタビューによれば、12歳から20歳の間に父、母、兄を立て続けに失っている。2010年には妻ナンシー・ドルマンが卵巣がんで亡くなり、今年2月にはドキュメンタリーの完成後、42歳の娘キャサリンが自ら命を絶った。
悲しみを否定せずに生き延びる
監督のローレンス・キャスダンは、娘の死を受けて公開延期を提案した。だがショートの判断は逆だった。「これは愛と喪失と生存についての作品だ。前に進むべきだと思った」と、NPRの番組『Morning Edition』で語っている。
娘の死について、ショートはこう述べた。「娘は精神疾患という重い病を抱えていた。がんと同じように、致命的な病もある」。精神疾患を「恥」ではなく「病」として正面から語るこの姿勢は、ハリウッドの著名人としてもかなり率直なものだ。「悲しみを否定することなく、その重要性を軽んじることなく、生き延びる方法を見つけなければならない」という言葉には、何十年もかけて喪失と向き合い続けてきた人間の実感がにじむ。
ナンシーへのラブレター
5月12日からNetflixで配信されるドキュメンタリー『Marty, Life Is Short』の中心にあるのは、ショートと妻ナンシーの関係だ。ショートが長年撮りためたホームビデオを通じて、二人の幸福な日々が描かれる。
初めてラフカット(仮編集版)を観たとき、ショートはキャスダン監督にこう言ったという。「ラリー、君がナンシーに恋していたとは知らなかったよ」。2010年の死から16年が経っても、ナンシーの存在がショートの人生と創作の核であり続けていることが伝わるエピソードだ。喪失を抱えたまま舞台に立ち続ける喜劇人の姿を、このドキュメンタリーは静かに、しかし確かに映し出すだろう。
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