夏休み前、各都市が「占拠」に身構える
米国で学年末が近づくたびに、「ティーン・テイクオーバー」への警戒が各都市で強まる。SNSで呼びかけられた若者が特定の時間・場所に大挙して集まる現象で、アトランタ、シカゴ、デトロイト、ワシントンD.C.などの大都市圏でメディアに繰り返し取り上げられてきた。
批判者は「大規模すぎる」「危険だ」と声を上げ、一部で暴力沙汰が発生したとの報道もある。だが、ジョージタウン大学ロースクールで少年司法クリニックを率いるクリスティン・ヘニング教授は、NPRのインタビューでまったく異なる見方を示した。「ティーンエイジャーが決まった時間と場所に集まって、友達と過ごし、屋外で時間を使う。それだけのことだ」。
ヘニング教授のクリニックがワシントンD.C.地域で確認した限り、こうした集まりに関連する逮捕はほとんど発生していないという。
バイラル動画が作り出す「脅威」
若者の大規模な集まり自体は、昔から珍しくない。ヘニング教授が問題視するのは、バイラル動画とネガティブな報道が「不当に悪い評判」を作り出す構造だ。
「多くの場合、ティーンエイジャー──とりわけ低所得層の有色人種の子どもたち──がジェントリフィケーションの進んだ地域を訪れていることを、私たちは過剰にセンセーショナルに報じている」とヘニング教授はNPRで語った。焦点は非行や犯罪行為に偏り、何百人もの若者が平穏に過ごしていた事実は報じられにくい。
数百人が公園や繁華街に集まる映像は、文脈を剥ぎ取られたままSNSで拡散される。「占拠」「暴徒」という言葉が先行し、実態との乖離が広がるほど、恐怖はさらに増幅されるようだ。
「占拠」のラベルを剥がしたとき
ワシントンD.C.ではナショナルズ・パーク周辺に、18歳未満を対象とした夜間外出禁止区域が設定されている。取り締まり強化で対応する都市は少なくない。
だが、ヘニング教授がNPRで議論したのは取り締まりの是非だけではなかった。テイクオーバーに代わる選択肢──若者が安全に集まれる場所や機会──の可能性についても話が及んだという。変わったのは若者の行動ではなく、スマートフォンによる瞬時の動員力と、それを記録・拡散するテクノロジーの存在だろう。
「占拠」というラベルを外して見れば、そこにあるのは友人と屋外で過ごしたいという、世代を問わず共通する衝動かもしれない。

